・『東洋古典を読む』(対象:中学・高校生)

水曜 18:40〜20:00(予定) 講師:斎藤 賢(漢文クラス講師)
2021年4月からは、オンライン授業


下記のテキストを読み進めていきます。

  本講座では、前任の方を引き継ぎ、『三国演義』を受講生のかたと一緒に読んでいきます。  『三国演義』は『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』と並んで中国四大小説の一つに数えられ、中国のみならず、日本をはじめアジア各国で長らく愛読され、正に「東洋古典」の名に相応しい書物と言えましょう。義を重んじ、衰滅しつつある漢室の再興を目指した劉備、冷徹な現実主義と鋭い戦略眼をもち、最強国魏を建てた曹操、その背後で虎視眈々と機を窺う孫権、そして彼らを支えた数多の武将や策士たち、彼らの生き方や信念は千差万別ですが、どれもみな読者を惹きつけてやみません。

 授業では主に『三国演義』を読み進めていきますが、合間に正史『三国志』などを参照しながら、『演義』と史実ではどの部分が同じでどの部分が異なるのか、そしてその理由はどうしてなのか、を考えていくことができればよいと考えています。というのも、『三国演義』は史実としての三国時代を核としつつ、長い歴史を経て明代に成立した小説であり、史実と『演義』の差異からは、中国の読者である知識人の思惟や民衆の期待・希望などが読み取れるのではないかと思うからです。東洋古典たる『三国演義』から能動的になにかを汲み取ろうとすることで得られる成果は決して小さなものではないでしょう。

 テキストは岩波文庫版の小川環樹・金田純一郎訳『三国演義』を用いますので、正確な訳が期待できるとともに、日本語としても洗練された文章を味わうことができるでしょう。テキストのどの箇所を読むかについては、受講生の方のご関心に沿って決定します。冒頭から読みはじめるのもよし、名場面を重点的に読むのもよし、と考えております。

 なお、本講座ではZoomを利用して実施いたしますので、遠くにお住いのかたでもご参加いただけるようになっております。