山びこ通信(最新号2013年2月号)より、転載いたします。

 

『漢文入門』(月曜日17:00~18:20、講師:木村亮太)

早いもので、年が明けて1ヶ月ほどが経ちました。

私たち漢文入門クラスでは、先学期に引き続いて『荘子』斉物論篇を読んでおりますが、この篇ももうすぐ終わりますので、この「山びこ通信」がみなさんの手元に届くころには、次の養生主篇へと進んでいることだろうと思います。

斉物論篇は『荘子』一書のなかでも特に重要な篇とされていますが、その非常に難解な文章は、古来、多くの異説を生んできました。『荘子』という書物には、実に多くの邦訳が作られていますが、それらのいくつかを手に取ってみると、それぞれに異なった解釈がされているということが少なくありません。

授業でも、思想内容を理解するために時間を取られることも多く、私の力不足で、十分に納得してもらえるような説明ができないことも何度もありました。語法の勉強というような“漢文入門”の趣旨にはそぐわないのではないかと、初めのうちは迷いながら授業を進めていました。それでも、受講生のお二人がとても熱心に授業に臨んでくださったおかげで、かえって私の方が励まされるようにして、長い長い斉物論篇を篇末まで読み進めることができました。お二人には本当に感謝しています。

さて、難解を極めた斉物論篇ですが、反対に良い傾向も現れています。今回は『荘子集釈』というテキストを使用していますが、これには歴代の『荘子』に対する注釈が集められています。集釈の部分はやや繁雑でもあり、授業ではもともと参考程度にしか扱わないつもりでした。ところが、受講生のお二人は、辞書や邦訳の説明だけに満足せず、進んでこの集釈をご自身の予習にも活用し始めました。注釈を読むには、またそれなりの技術が必要なのですが、これまでの応用で読まれているようで、私もとても嬉しく感じました。

(木村亮太)

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