最新情報

2017年11月15日イベント
11月、12月イベントのお知らせ
2017年11月12日ごあいさつ
温故知新と西洋古典
2017年11月10日クラス
『ギリシャ語』『ラテン語』他、語学クラス会員募集中!
2017年11月9日講習会
2017年度 冬期講習会(中・高生対象)のご案内
2017年9月19日クラス
「将棋教室」のご案内

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11月、12月イベントのお知らせ

2017年11月〜12月のイベントをご案内致します。会員に限らずどなたもご参加頂けます(いずれも無料です。)。 定員がございますので必ずお申し込み下さい(※)。 ※申し込み後のキャンセルも必ずご連絡下さい。 ※事前にお申し込みの無い方、また、対象外の方は、当日お越しになってもご参加頂けません。

英語特講
11/13(月)18:40~20:00
12/4(月)18:40~20:00

対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:山下あや
*それぞれの生徒に応じた問題を用意し、時間内でひたすら問題を解き続けてもらいます。それぞれの答案の採点をその場でしながらコメントしていきます。
*事前にお申し込み下さい。

●何でも勉強相談会
 11/27(月)18:30~21:30
 12/18(月)18:30~21:30

対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:浅野直樹・山下あや
*講師が勉強や進路の相談などを幅広く受け付けます。事前にお申し込み下さい。

将棋道場 オープン戦
 12/18(月)16:00~18:00

対象:小学生
場所:山の学校教室
定員:15名先着(残り僅少、お早めにお申込み下さい)
担当:中谷勇哉
*トーナメント形式のオープン戦です。詰将棋の問題をみんなで考えたり指し手について学び合う時間もあります。

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温故知新と西洋古典

山びこ通信2017年度秋学期号(2017.11.08発行)より、巻頭文をご紹介します。

温故知新と西洋古典

山の学校代表 山下太郎

 「古今東西」という言葉があるが、「東の今」を生きる日本人にとって、一番距離の遠いのが西洋の古典(クラシックス)である。ここで言うクラシックスは音楽のクラシック(西洋古典音楽)のことではない。クラシック音楽なら幼稚園の子どもでもピアノを習って親しんでいる。他方、西洋文明のバックボーンをなすクラシックス(西洋古典学)に我が国の教育は無関心を決め込み、子どもたちが学校教育で接する機会は皆無に近い。
 一例として、プラトンやキケロの翻訳を読み議論する機会が学校で用意される世の中になればと心から願う。これらは西洋の古典であると同時に、人類の古典でもある(音楽のクラシックがそうであるように)。それが難しいとしても、せめて国を代表する政治家を志す若者には、西洋古代の哲人たちが国家について何をどう考え、どう論じたか、学んでほしい。
 グローバル時代と言われて久しいが、我々はいまだ和魂洋才の呪縛から逃れることができずにいる(今は和魂の学びも怪しい)。古典は社会の常識を作る。戦後古典をなおざりにしてきた弊害が今の世相に表れ、前代未聞の非常識が連日のように新聞を賑わせている。西洋古典は世界の常識を形成する。日本は自国のことだけを考えてよいわけではない。地球の未来、人類の未来に責任を持つために、東洋の古典とともに西洋の古典を学ぶ必要がある。
 山の学校では西洋古典の言語をじかに学ぶ機会を設けているが、なぜ現代人がギリシア語やラテン語を学ぶ必要があるのだろうか。この問いは、上で述べたようにわが国で議論されることはなく、欧米社会で問われてきた問いである。ラテン語は欧米社会の漢文である。それゆえ同じ趣旨の問いはわが国にもある。「なぜ古文や漢文を学ぶ必要があるのか」と。答えは「温故知新」ということになる。
 古典は「会話」するために学ぶのではなく、古典作家と「対話」するために学ぶのである。それが社会の津々浦々で行われることによって、社会の常識が形成されていく。その意義が信じられ、実感されるゆえ、古典は営々と読み継がれて今がある。その証拠に、東西を問わず、古典作品は今も目の前に読める形で届いている(それを可能にするのが文学部の仕事である)。
 目まぐるしく移り変わる現代社会において、古典を読む意義はますます大きなものになっている。それは西も東も変わらない。温故知新の意義は、すでに多くの人たちによって語られてきた。ただ、わが国で「古典」という言葉を聞いて、古文漢文(日本の古典と中国の古典)をイメージする人はいても、ギリシア・ローマの古典を想起する人は皆無に等しい。
 私のささやかな提案は、一人でも多くの日本人が、クラシックス(西洋古典学)というジャンルに親しむことである。なぜかと理由を問われるなら、日本の法律、政治、教育、その他明治開国以降西洋を手本として取り入れた諸制度の根幹をなす精神にじかにふれることができるからだ。逆に言えば、それを知らずに、民主主義や教育の意義を語ることはできないだろう。たとえば、なぜ学校で勉強するのかと子どもに問われて答えに窮する大人は多い。人間を作り、市民を作るためである。言い換えるなら、民主主義を支える主権者を作るために子どもたちは学校で学ぶ必要がある。けっして、立身出世に役立てるため、といった個人的な理由で公教育が用意されるわけではない。
 学問に有用性があるかどうかの議論がある。イソップに「胃袋と足」と題する話がある。胃袋も足も、心臓も脳も、体を構成するすべての部分が大事である。どれが一番ということはない。学問についても同様で、すべてのジャンルに存在理由がある。どれかが欠けたら穴の開いた風船になる。便宜的に理系と文系という言葉を用いれば、理系も文系もどちらも大事であり、虚学と実学のバランスも同様である。
 理系では基礎研究が大事であるという議論をよく耳にするが、それだけ基礎研究が大事にされてきた証拠といえる。コンセンサスあればこそ、そうした議論が繰り返し出てくるのである。ひるがえって文系において、世界を視野に入れるならクラシックス(西洋古典学)の研究は不可欠であるが、このジャンルの研究が大事だという意見を耳にしたためしはない。つまり、ここだけがぽっかりと穴が開いている。
 コップに水が半分入っている。この事実は良くも悪くも受け取れる。私が上で述べてきたことは、普通に読めばネガティブな話だが、視点を変えるとポジティブに聞こえる。明治開国以来、風船に穴のあいた状態で、よくぞここまでやってきたと思う。あとは穴をふさげばよい。それができたとき、この国の風船は、個人であれ学問の全体であれ、どこまでも高く世界の大空を飛翔するだろう。徐々にであってもそのような方向に世の中が変わっていくことを願いつつ、50年先も100年先も、山の学校は変わらぬスタンスで活動を続けていきたい。(山下太郎)

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『ギリシャ語』『ラテン語』他、語学クラス会員募集中!

 

山の学校では、いずれのクラスも随時入会を受け付けております。
秋学期(9月)から始まった初級クラス
や、ちょうど新しいテキストを読み始める(読み始めた)クラスもございますので、この機会に是非ご参加下さい。各クラス、最近の進捗状況をこちらに掲載しております。詳細はお問い合わせ下さい。⇒語学クラス一覧

『ラテン語初級文法』 クラス 水曜 20:10〜21:30 講師:山下大吾

現在のテキスト進行状況については、お問い合わせ下さい。
テキスト:『ラテン語初歩(改訂版)』岩波書店

『ラテン語初級』クラス 木曜 20:10〜21:30 講師:広川直幸

現在のテキスト進行状況については、お問い合わせ下さい。
テキスト:Hans H. Ørberg, Lingua Latina I: Familia Romana(11月16日時点で、第6課 60行からです。)

『ラテン語中級』Bクラス 火曜 18:40〜20:00 講師:広川直幸

テキスト:プリーニウス『博物誌』第7巻を読み始めています(2017年9月〜)。進行状況については、お問い合わせ下さい。

 

 

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2017年度 冬期講習会(中・高生対象)のご案内

 「『分かったつもり』のような気がする・・・」
 「今さら人に訊けない・・・」なんていうこと、ありませんか?
 モヤモヤを解消して、新年を迎えましょう!

山の学校では、下記の要領で中学・高校生を対象に冬期講習を開講いたします。
各科目、定員5名で、受講者のニーズに合った内容・基礎固めに重点を置いています。
ご希望の方はお早めにお申込み下さい。FAX(075-781-6073)、電話(075-781-3215)またはemail(taro@kitashirakawa.jp)にて受け付けております。

【日程】2017年 12月25日(月)、26日(火)、28日(木)、29日(金)の4日間

【時間割】(各科目担当:浅野直樹)

(1)「中学英語」17:00〜18:00

(2)「中学数学」18:10〜19:10

(3)「高校英語」19:20〜20:20

(4)「高校数学」20:30〜21:30

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「将棋教室」のご案内

2017年4月から新規開講したクラスのご案内です(2017/06/21更新)。

(将棋道場あらため)「将棋教室」

月曜日(隔週) 16:00〜17:30  講師:中谷勇哉
対象:小学生
定員:小学1年2名、小学2〜6年10名

 「礼に始まり、礼に終わる」。将棋はただ自分が強いことを相手に誇示するためのものではありません。相手がいることは、自分の指した手のどこが悪かったかを直してもらうチャンスなのです。「負けたのは相手が狡(ずる)いせいではない。自分が弱いせいだ」と、素直に非を認められる人は、次には「誓って」その悪い手を指さなくなる分、一歩前より強くなっています。逆に相手が同じ手を指してきた時には、それをとがめる(つまり教えてあげる)ことができます。悪い手を次第に指さなくなる(つまり強くなる)には、先生と、礼を重んじる相手・仲間とが必要です。勝敗は強さの後ろからおのずとついてきます。「勝ちたい!」≠「強くなりたい!」。この「≠」の意味を一緒に問いましょう。

(クラスの空き状況についてはお問い合わせフォームよりお訊ね下さい。)

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「講読クラス」(小・中・高校生対象)会員募集中!

2017年4月より、中学高校生と小学高学年の「講読クラス」が開講致しました。定員5名となります。クラスの空き状況につきましては、「お問い合わせフォーム」からお訊ね下さい。クラスの様子やテキストの進行状況につきましては、ウェブログ等でも御覧頂けます。

 

1.『西洋古典を読む』(対象:中学・高校生)

水曜18:40~20:00 担当 福西亮馬(予定)

世の中には、「古典のことはよく分からない。読むのも訳するのも時間がかかる」と言う人と、「だからいい。なぜなら自分で立ち止まって考える時間が増えるから」と言葉を接ぐ人と、両方います。どちらも真実を言っており、前者は定説的で、後者は逆説的です。ビジネス書と違って、古典の文章はそれに注力した時間が長ければ長いほど、その人にとって、輝かしい価値を持ちます。打てば響くというわけです。そしていつしかその人の精神における不動の地位を得ます。クラシック(第一席)と呼ばれるゆえんです。

西洋古典の最初のテキストは、セネカの『人生の短さについて』(茂手木元蔵訳、岩波文庫)を読みます。「曰く、人生は短い」という定説で始まり、次いで、「われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、もっとも偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている」という逆説で文章が展開します。このような論理は、おそらく十代の若者の心を掴んで離さないでしょう。若いうちにこそ、学ぶ姿勢をはっとただされる、そんな名文だと思います。もとより古来より愛されてきたわけです。しかもそれほど長文ではありません。岩波文庫で50ページほどです。それを丸ごと味わって読みたいという人は、ぜひご参加ください。

(授業の進め方は「こちら」をご覧ください)

 

2.『東洋古典を読む』(対象:中学・高校生)

木曜18:40~20:00予定 担当 福西亮馬(予定)

このクラスでは、『完訳 三国志』(羅貫中、小川環樹ら訳、岩波文庫)(全8巻)を通読します。黄巾党の乱から晋の成立まで、全120回に分けられています。1回ずつが講釈のように切りのいいところ、いわゆる「引き」によって構成されており、次がまた気になるという面白さです。私がみなさんと共有したいのは、テキスト(日本語訳)を読んで、英雄たちを再びよみがえらせる時間です。血湧き肉踊るような感情体験であり、過去の人物に発奮することです。プルタルコスのカエサル伝によると、カエサルはアレクサンドロス大王の像を見て、「彼は今の自分と同じ頃には世界を征服していた。なのに自分は……」と涙したと言います。三国志の英雄たちの生き様もまた、それを愛好する人にとって、思いを同じくするところでしょう。

たとえば、正史(魏志)にある崔林は、「大器晩成」(の語源の一つ)として知られていますが、私は彼のことが大好きです。そのように「私はあの人が好き」「この人が好き」という人物を語ることは楽しいものでしょう。ただそれが単なる同好のよしみにとどまらず、同じテキストを突き合わせて、すなわち「ソースをしっかり読んで」、あれこれ話し合えば、また違った角度から興味を掘り起こせるでしょう。予備知識を総動員し、テキストに線をたくさん引きましょう。そして気に入った個所を写し取って愛蔵するなど、今から古典の味に親しみましょう。

 

3.『西洋の児童文学を読む』(対象:小学生 新5〜6年※)

(※別紙ご案内で「小学生4年以上」と表記致しておりましたが、正確には「4月からの新5年生以上」が対象となります。訂正とお詫びを申し上げます。)

木曜16:20~17:20 担当 福西亮馬(予定)

本を読み通すこと、そしてそのことに共感する他者と出会うこと、その互いの鏡映しによって、精神のより深いところに種を植え、根を生やせるよう、また作者と永遠に対話できるようになること。そのようなクラスを理想として目指します。そして、同じ作者の異なる作品を読むことによって、読書体験がより深まることを望みます。そこで当初は次のようにテキストを指定します。

1 トンケ・ドラフト『王への手紙』(←2017年4月から、この本に取り組んでおります。) 

2 トンケ・ドラフト『白い盾の少年騎士』

3 エンデ『はてしない物語』    

4 エンデ『モモ』  (いずれも岩波少年文庫)

さて、最初のテキスト、トンケ・ドラフト『王への手紙』(西村由美訳、岩波少年文庫)は、日本ではまだまだ隠れた名作です。各章10ページ前後という大変抑制の効いた構成で、テンポよく、物語の緊張の糸がつむがれます。一度読みかけたらおそらく最後まで読んでしまうことでしょう。その読んで感じたことを報告し合うことが、クラスでの中身となります。良いものを「良い」と言って共感され、好きなものを「好き」と言い合えることで、互いの人生を信じる心を応援したいと願っています。

(上記は抜粋になります。全文の内容は「こちら」をご覧ください)

(授業の進め方は「こちら」をご覧ください)

 

4.『数学が生まれる物語を読む』(対象:中学・高校生)

火曜18:40~20:00 担当 福西亮馬(予定)

二十年も昔の話になります。私が大学一回生の時、「数学という学問を愛する人の目には、物事がこんなにも豊かなものとして映っているのか!」と、筆者の知的土壌に強い憧れを覚える、そんな一冊の本に出会いました。それは『固有値問題30講』(志賀浩二、朝倉書店)でした。当時は何度読んでも理解できませんでしたが、それにも関わらず、私がこの本に魅了された理由は、作者が数学について読者に語りかける時の、あの何とも言えない、まるで未来の大樹となる種に語りかけるような、筆者の日本語の音色にあります。

このクラスでは、同じ著者の『数学が生まれる物語』(全6巻)(岩波書店)を読みます。先人たちによって育まれた「数学」の歴史の本です。第1巻は、自然数、小数、分数です。ペースは1回の授業で半章進む程度でしょう。42章全部を読み切りたいと思うならば、長旅を覚悟しなければなりません。また未知の内容に不安を覚えるかもしれません。あるいは高度な記号が初学者の理解を躓かせるかもしれません。それでも、そのような危険を冒してでも、数学の広い海に憧れ、船出したいという人は必ずいると思います。そのような人はぜひ、門を叩いてください。

(上記は抜粋になります。全文の内容は「こちら」をご覧ください)

 

注)何分予定が含まれますため、内容や講師については、予告なく変更することがあります。その際はあしからずご了承ください。

 

 

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そうだ、ラテン語やろう!――今なぜラテン語なのか

山びこ通信2017年度春学期号(2017.06.27発行)より、巻頭文をご紹介します。

そうだ、ラテン語やろう!――今なぜラテン語なのか

山の学校代表 山下太郎

 私はこのたび縁あってラテン語の作品(キケローの「スキーピオーの夢」)の注釈書を書きました1 。専門書ではなく、初学者向けの独習書です。「ラテン語講習会」 2 の教材を元にしたもので、初級文法を終えた人を念頭に置いた丁寧な解説を心がけています。原文の一字一句すべての単語に文法的説明を施し、文脈に即した訳語と逐語訳を添えました。以下、この本を書いたねらいと、なぜ今ラテン語か?ということについて、思うところを述べます。
 「ラテン語」と聞くと、「難しい」というイメージをもつ人が多いようです。英語が苦手な人にとって、英米人が「苦手」と告白するラテン語は、きっと英語の何倍も難しいのだろうと想像するのは自然なことです。しかし、それぞれの言語をまったくのゼロからスタートした場合、ラテン語の発音は基本的にローマ字読みでよいので、英語よりもとっつきやすいのは事実です。
 一方、英語に比べて文法が複雑で覚えるのが大変、というお声もちょうだいします。たしかに暗記すべき項目は圧倒的に多くありますが、文法そのものは想像以上に規則的です。問題はこの文法との付き合い方です。実際に大学の授業でラテン語を受講したものの、途中で挫折した人は少なくないと思います。挫折しやすいタイプの人は生真面目な人が多いという印象です。週一回の授業ですと、毎回暗記しないといけない事柄がたくさん出てきます。先生によっては、前回の範囲について確認テストをされる場合もあり、その対策に気分が滅入ることもあるでしょう。
 私が「ラテン語講習会」でお伝えしているアドバイスは、「暗記しない」、「覚えない」というものです。その代わり「調べる」ことはしましょう、と。変化表を暗記することはラテン語学習の王道であり、そのメリットを否定するものではありません。ラテン語は語尾が激しく変化しますが、変化表が頭に入っていると瞬時にその形が何かがわかります。一方、それを覚えていない場合、いちいち教科書の該当箇所を調べる必要があるので、時間が余分にかかります。ラテン語の速読速解を目指すなら暗記は不可欠ですが、意味を確かめながらゆっくり読めればよいという場合、無理に暗記をする必要はありません。それで挫折しては元も子もないからです。
 幸い私のクラスの受講生は、趣味でラテン語を学ぼうと考える人たちばかりです。一番大事なことは「楽しく続けること」であり、一番避けたいことは「挫折すること」です。もちろん「楽しく」学ぶにはそれなりの努力が必要で、「ラテン語は調べればわかる」と確信できるだけの経験を重ねることが不可欠です。教室でラテン語を学ぶ人は、挫折さえしなければこの経験を得ることができますし、一方、そのチャンスの得られない多くの場合、解答と解説付きの教科書や練習問題3を使えば、この経験を自宅に居ながらにして積むことが可能です。その結果として、文法の教科書のどこにどのようなことが書いてあるか、およその目途がつくようになれば、ひとまず目的達成です。
 こうして文法という地図の使い方がわかれば、いよいよ旅に出ること、すなわち、原典講読に挑戦することができます。ただし、教科書と辞書を用意すれば、すぐに原文の意味がとれるかといえば、話はそう甘くはありません。やはり、初学者には初学者なりのツールが必要です。そこで、私は考えました。原文に出てくるすべての単語の文法的解説と語彙の説明をほどこした教材があればどうだろう、と。そうしてできたのが今回の本というわけです。単語集も逐語訳も、学習に必要なものは全部用意しました。あとは、解説を読みながら、教科書と辞書を使って知識の確認作業を繰り返すだけです。ヒントを見なくても、原文の意味やニュアンスが頭に浮かぶようになれば、その結果、文法も語彙も、覚えるべきものは自然に覚えるでしょう。
 ラテン語は死語なのになぜ学ぶのか、という問いを受けることがよくあります。たしかに「会話する」相手がいない言語ではあります。しかし、ヨーロッパ文明の魂というべきものがラテン語で書かれた文献に宿っています。原典講読を通じ、キケローをはじめとする古典作家の魂と「対話する」ことは可能であり、私はそのためにもラテン語を学ぶ意義はあると考えています。
 私がラテン語の普及に注力するのには、もう一つ別の理由があります。グローバル時代と言われて久しいのですが、欧米の漢文と呼べるラテン語を学べる場所はいまだに限られていて、初学者が手に取って自習できる学習書はなきに等しい状況です。研究書、論文、翻訳といった専門家の不断の努力の結晶を社会が十二分に生かすためにも、基本を学ぶ層が広く厚く存在してほしいと願います。スポーツしかり、音楽しかり。すそ野を広げることの大事さは、ジャンルを問いません。
 とは言え、ラテン語の学習環境について言えば、現状のままで何も痛痒を感じないという人がほとんどだと思います。この事実が示唆する西洋古典学全般への無理解と無関心は、昨今の人文学軽視の風潮とあいまって、学問と教育の危機を招く遠因につながっていると思われます。民主主義にせよ、学問や教育のシステムにせよ、そのルーツがギリシア・ローマの古典精神に遡ることは自明ですが、我が国は「和魂洋才」のスローガンを墨守するあまり、「洋魂」の根っこを問うことを知りません。その結果、耳当たりのよい「改革」のスローガンが繰り返され、研究と教育の現場は無数の介入によってかき乱されているのが現状です。
 「和魂でじゅうぶん」。社会にそうした偏見が満ちるとき、世の中は閉塞感に包まれます。そこに風穴を開け、自由の空気が通うよう窓を開けたいと願うとき、また、学問について、教育について、真善美について考えるとき、人類の英知の宝庫たる西洋古典に無関心を決め込むわけにはいかないでしょう。その考えの賛同者を募るべく、私は「ラテン語講習会」を開いています。日頃幼児教育に取り組む者として、真理と自由が尊重される社会が子どもたちの未来を明るく照らすことを心から願い、その未来の鍵を握るのがラテン語であると信じるからです。そしてその先に、音楽のクラシックがそうであるように、西洋古典──英語ではクラシックス──への親しみと敬愛が日本社会に根付くことを願います。(山下太郎)
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1 『ラテン語を読む キケロー「スキーピオーの夢」』、ベレ出版、2017。
2 山の学校の出張授業として、東京、名古屋、京都で定期的に開催(各々月一度)。初級文法のクラスのほか、キケローの『スキーピオーの夢』、『アルキアース弁護』、『カティリーナ弾劾』、ウェルギリウスの『アエネーイス』を読む講読クラスがある。
3 拙著『しっかり学ぶ初級ラテン語』(ベレ出版、2013)、『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』(ベレ出版、2015)等。

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10月イベントのご案内

2017年10月のイベントをご案内致します。会員に限らずどなたもご参加頂けます(いずれも無料です。)。 定員がございますので必ずお申し込み下さい(※)。 ※申し込み後のキャンセルも必ずご連絡下さい。 ※事前にお申し込みの無い方、また、対象外の方は、当日お越しになってもご参加頂けません。

英語特講
10/16(月)18:40~20:00

対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:山下あや
*それぞれの生徒に応じた問題を用意し、時間内でひたすら問題を解き続けてもらいます。それぞれの答案の採点をその場でしながらコメントしていきます。
*事前にお申し込み下さい。

何でも勉強相談会
 10/30(月)18:30~21:30

対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:浅野直樹・山下あや
*講師が勉強や進路の相談などを幅広く受け付けます。事前にお申し込み下さい。

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