『クローディアの秘密』を読む(あらすじ)その1

福西です。

「西洋の児童文学を読む」AとCのクラスで読む、『クローディアの秘密』(カニグズバーグ、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)のあらすじを紹介します。

【あらすじ】

午後五時半を回ると、メトロポリタン美術館は二人だけのものになります。

クローディアの慎重な計画性。弟ジェイミーの財務大臣としての手腕。それをもって、姉弟はメトロポリタン美術館に「家出」に向かいます。

あるところから逃げ出すのではなく、逃げ込むために。

美術館を選んだのは、大きくて、気持ちよくて、屋内で、その上、美しい場所だったから。しかも人で「ごちゃごちゃ」しているので、誰何される心配もありません。

二人は夜になると、がらんとした世界を楽しみ、願いの噴水で水浴びをし、豪華でかび臭い寝台に眠ります。

クローディアにとって、家出の目的は「前の自分と違っている」ことでした。

それは冒険のためでも、女英雄(ヒロイン)になることでもなく、「以前は持っていなかった秘密を持ち帰る」ことでした。

単なる家出や、美術館に隠れるという秘密には、いつか終わりがきます。クローディアは「終わりのない秘密」を欲します。

そしてクローディアをひきつけたのが、美術館の「天使像」でした。

競売で、たった二百二十五ドルで入手された小像。その制作者が実はミケランジェロではないか? という謎をかぎつけます。

クローディアの心は、この秘密と共鳴します。

我こそが彫像にとって「重要な人になりたい」と。そのために、するべきことは一つ。

じぶんで、このなぞをとこう! そうすれば、像がおかえしに何か重要なことをしてくれるわ。

その2に続きます)