『かず』(5~6年)『高校数学』(1~2年)  『高校数学』(3年)クラス便り(2017年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『かず』(5~6年) 『高校数学』(1~2年) 『高校数学』(3年)

担当 浅野 直樹

 論理的に考えることを大切にしています。
 かず5〜6年のクラスでは受講生がいろいろなゲームを持ってきてくれます。その度にルールから論理的に導き出せる攻略法を探っています。ドンジャラ風のプラスマイナスゲーム(正式名称はわかりません)では、麻雀と同様に、なるべく多くの種類の牌で上がれるような形を作れると理想的です。その際には相手と自分の捨て牌から山に残っている牌の個数を考慮することも求められます。自分の手ばかり見ていてもなかなか勝てません。
 高校数学では、どのような方法であっても、論理的に考えて正解にたどり着ければよいです。大学独自の記述入試ではいろいろな解法が想定される問題も決して珍しくありません。
 論理的思考が有効なのは何も数学に限ったことではありません。一例として2017年センター試験の現代社会の問題を見てみます。

第1問 問5 (中略)適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 社会貢献活動に取り組む団体の活動を促進するための特定非営利活動促進法(NPO法)は、高度経済成長期に制定されている。
② 従業員がボランティア活動に参加しやすくするため、ボランティア休暇の導入に取り組む企業がある。
③ 地域社会でのボランティア活動を支援するなど、企業による社会貢献活動は、フィランソロピーと呼ばれることがある。
④ 企業が行うゼロ・エミッションの取組みとは、その活動において排出される廃棄物などをゼロにしようとするものである。

②の選択肢はまずもって正しいです。なぜなら数え切れないほどたくさんある企業の中で一社でも条件を満たせばよいからです。しかもその条件が「ボランティア休暇の導入に取り組む」なので、実際に導入には至っていないとしても取り組んでいると言い張ることさえできます。③の選択肢も正しそうです。「…と呼ばれることがある」という記述なので、どれほど少数説であっても呼ばれることさえあればよいからです。正解(適当でないもの)は①です。

第3問 問4 (中略)最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 基礎年金制度は、各種年金制度間の格差を緩和することなどを目的として導入されている。
② 学生の場合、20歳以上であっても、国民年金への加入は義務ではない。
③ 公的扶助に関する事務は、福祉事務所では行われていない。
④ 現在、社会保険を構成しているのは、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険の四つである。

①の選択肢が正解である可能性が高いです。なぜなら、「…などを目的として」というように、事実ではなく目的についての記述だからです。実際にはその目的が達成されていなかったとしても、制度設計に関わった人のうち一人でもそのような目的を持っていたとしたら、正しいことになります。しかも「など」という無難な表現もあります。それに対して②〜④は事実についての記述なので、社会保険には労災保険もあるといったように、確実に誤りだと主張することが容易です。
  現実社会の問題に取り組む場合は決められた答えなどないのですから、論理的にいろいろな考え方をすることがなおさら重要になります。 今後の長い人生において役立てられるような論理的思考を身につけてもらいたいと思っています。