オンライン授業のみ 『漢文講読Ⅱ』クラス(高校生〜一般)・・・・・ 新規開講!

  水曜 17:10~18:30 講師:斎藤 賢

<主なテキスト>:『史記會注考證』

<クラス紹介(2021-05-05追記)>
 受講生の希望により、『史記會注考證』の「呂不韋列伝第二十五」をテキストに決定しました。呂不韋は戦国末の動乱の時代に生き、その才覚によって一介の商人から一国の宰相にまで登りつめた人物であり、また『呂氏春秋』の著でも知られ、歴史的に重要な人物です。また、本列伝には「奇貨可居」の故事や、始皇帝の出生にまつわる逸話も記されており、話としても十分に楽しめるものになっています。現在は呂不韋の商人としての活動と、始皇帝の祖父にあたる安国君が秦国の太子となる部分を読み進めていますので、戦国時代や秦に関心のあるかたはぜひご参加ください。(進捗度詳細は、お気軽にお訊ね下さい)

<クラス紹介>(注:「漢文入門」…2021年度春学期までのクラス名)
 はじめまして。今年度より「漢文入門」講座を担当することになりました、斎藤賢です。この講座では『史記會注考證』を主なテキストとして読み進めていく予定です。司馬遷の『史記』は日本において最も著名な歴史書であると言っても過言ではなく、ご存じのかたも多いことかと思われますが、『史記會注考證』という書名は見慣れないものかもしれません。瀧川亀太郎博士の手になり、1932年から34年にかけて刊行されたこの書には、南朝宋・裴駰の『集解』、唐・司馬貞の『索隱』、および張守節『正義』(これらは「三家注」と称されます)に加え、瀧川博士が清朝考証学者や江戸時代の学者の説なども取り込んで書いた「考證」が附されています。『史記』といえば翻訳書も多数出版されており、あるいは、いまさら『史記』なんて…と思われるかたも、おられるかと思います。しかし、歴代多くの注が作られてきたことからもわかるとおり、『史記』は決して簡単な書物ではありません。『史記』の文章の正確な意味や、細かなニュアンスなどは自身で原文(と注釈)を読み、考え、理解するしかない、といえるでしょう。古代から近代にいたる中国や日本の読者とともに『史記』を読み解くことができる、その意味において『史記會注考證』は非常に魅力的なテキストだと思います。

 

授業に際しては、まず受講生の方のレベルに合わせて漢文法を解説し、その後テキストを読み進めながら、「反切」や「通假」「避諱」といった、実際に漢文を読むために必要な知識について説明していきます。『史記會注考證』のどの部分を読むかについては、受講生の皆さまのご関心に沿って決定したいと思います。また、主なテキストは『史記會注考證』としますが、『史記』にみえる説話については、それに関わる文章が『戦国策』や『呂氏春秋』『韓非子』といった他の書にも残されている場合があり、「そちらも読んでみたい!」といったご希望も大歓迎です。授業の形式としては、毎回、受講者の方にテキストを事前に読んできてもらい、授業では漢文の訓読、及びその日本語訳をしていただきます。その際、最も重視するのは漢文の文法が理解できているか否か、ということです。学校教育ではしばしば「~という字は~と読まなければいけない」といった教えかたをするかと思いますが、漢文の訓読の仕方はもっと自由なものであり、文法に合ってさえいれば、どのように訓読しても構いません(もちろん、漢文訓読の伝統は疎かにできませんが)。

 また、この授業ではただ単に漢文を読めるようになる、ということだけではなく、その漢文の背景にある歴史や社会・文化などを理解する、ということを重視したいと考えています。そのため、関連する文献や考古学的遺物などもご紹介しつつ、『史記』の対象とした古代中国がイメージできるような授業を目指します。

 漢文は決して無味乾燥な漢字の羅列などではありません。とりわけ『史記』は上古の聖王の治世に始まり、殷周の交替、春秋の覇者、戦国の烈士、楚漢の死闘などを叙述し、さながら大河ドラマのような迫力をもっています。また、『史記』の魅力として、人間という存在に対する鋭い洞察が挙げられるでしょう。例えば、伯夷叔斉列伝では、伯夷叔斉が義を貫いて終には首陽山で餓死したことを記した司馬遷は、一方では非道な人物が一生楽しく豊かに暮らしているのに、他方では正直に真面目に生きている人間が災禍に遇うことを述べ、「余甚だ焉に惑う。儻は所謂天道、是なるか非なるか。」(「余甚惑焉,儻所謂天道,是邪非邪」)と問うていますが、この嘆きには現代であっても多くの方が共感を持たれるのではないでしょうか。これは一例にすぎませんが、『史記』には読者を思索に導いてくれる内容に満ちています。

 些か煩雑になりましたが、この講座の目的は「漢文を楽しく読む」ことに尽きます。受講生の方が、ご自身で『史記』を読み、考え、理解し、それらを人生の糧としていただくことができれば、望外の喜びです。

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