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📖 テキスト(6月〜9/17)『世界共和国へ』柄谷行人著(岩波新書)
📖 テキスト(9/24~11/19)日本の近代とは何であったか』三谷太一郎著(岩波新書)

  金曜18:40~20:00  講師:吉川弘晃

<クラス紹介>

 この授業では、19世紀後半以降の「現代世界史」を最近の歴史研究(新書など)を通じて学んでいきます。この20年間、特にIT技術の飛躍的な発展が政治・経済・文化、その他多くの局面で「世界の一体化」を推し進めましたが、その流れは16世紀(大航海時代)、さらに14世紀(モンゴル世界帝国)にまで遡るとも言われております。しかしながら、ヨーロッパで確立されたスタイルをもつ諸制度(資本主義・近代国家・衛生・大学・鉄道…)が不可逆的にその他の地域へ拡大していくという意味で、「世界の一体化」が不可逆な流れとなるのは19世紀半ば以降です。ただし、ヨーロッパからの影響は一方向的であったわけでなく、他方でアジアやアフリカの各地域から、こうした「西洋化」に対する自律的な反応(受容・反発・変容)が見られたことも(特に20世紀以降は)確かです。このように世界が本格的に一体化していく様を扱う「現代世界史」について、講師と受講生が一緒にテーマを決めて学んでいきます。

秋学期からのクラス紹介(2021-07-31追記)>

 春学期に扱った、柄谷行人『世界共和国へ』の講読の残りは、秋学期の最初の3回を使って行うつもりです。
 春学期は、現代世界史を理論的な面から扱う本を読んでいきましたが、これに対して秋学期はもう少し具体的な問題から考える本を読むつもりです。
教科書としては、クラス開設時にテキスト候補として挙げていた、三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』を選び、9コマ分を使って読んでいきます。
春学期に学んだ、マルクスやヴェーバーを通じた資本主義やネーションの考えを踏まえた上で、私たちが住む日本という土地から現代世界史を考えていくチャンスです。

<開講とテキストが決定しました。(2021-05-21追記)>

教科書:柄谷行人『世界共和国へ』岩波新書、2006年
(2010年の
『世界史の構造』に拡大していくタネのような本です。分量も少なく、文体もやや読みやすいものになっております)

概要:今学期は、19世紀以降の「世界の一体化」を推し進めるソフトウェアとしての役割を果たした資本主義、ネーション、(国民)国家について以上の教科書を読みながら学んでいきます。高校での世界史・倫理の知識に加え、大学での西洋思想史や宗教、社会学など様々な知識が展開されますが、一つひとつ講師が補足説明を行います。その上で「現代世界史」の理念的枠組を習得することが目的です。来学期は、ここで学んだことを活かし、より具体的な事例に即して「世界の一体化」に関する本を読んでいく予定です。

予習:各回で扱う部分を事前に読み、面白かった点や分からなかった点をまとめておく。余裕があれば簡単な要約(800〜1200字)を作ってもよい。

<テキスト候補・授業の進め方>(上記を読んだあと、下記5つのテキスト候補から選んで読んでいきます。)

 授業の進め方としては、①講師が指定した範囲を生徒さんが読んでくる(可能であれば要約を行った上で疑問点や論点を列挙する)、②授業では教科書の内容を確認、それを自分の言葉でまとめる練習を行う(背景知識は講師が提示)、③生徒さんが挙げた疑問点や論点についてクラス全体で議論する、というものです。
テキストについては必ずしも「現代」を直接扱うものに限らず、「現代世界」を理解する上で重要なもので様々な視点をもつ(なおかつ入手しやすい)ものを新旧バランスよく選びました。勿論、各自読みたいものがあればそれをテキストにすることも可能です。お気軽にご相談ください。
三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』岩波新書、2017年
近代日本を総合的に振り返って考えてみたいという人にオススメ!
→ 近代(化)とは何か?天皇(皇室制度)とは何か?近代日本と資本主義の関係はどのようなものか?なぜ日本に政党政治が定着したのか? 

秋元英一『世界大恐慌』講談社学術文庫、2009年
「失われた30年」と今も続く厳しい世界経済を改めて考えたいという人にオススメ!
→「恐慌」とは何か? 20世紀のシステムはどのようにしてできたか? バブルはなぜ発生するのか? 不景気に対して国家は何ができるのか? 

柄谷行人『世界史の構造』岩波現代文庫、2015年
資本主義や国民国家に変わる世界のあり方は可能か?台湾の若きIT大臣オードリー・タン(唐鳳)さんも愛読!
→この200年の社会思想をどう考えるか? 冷戦後の世界で革命は不可能か? 人類史を「交換」で考えるとどうなるか?

アルフレッド・W・クロスビー『ヨーロッパの帝国主義』ちくま学芸文庫、2017年
「持続可能な成長」が求められるなか、人間と自然のあり方を長期的に振り返りたい人にオススメ!
→(数百年の)グローバル化とは何か? 生態学的視点で歴史を考えるとどうなるか? 人間と動植物の関係はこの1000年でどう進んできたか?
 

ヤーコプ・ブルクハルト『世界史的考察』ちくま学芸文庫(電子書籍版あり)、2009年
私たちが無意識に囚われている近代中心の歴史観を考え直したい方にオススメ!
→歴史を動かす力とは何か? 「危機」の時代に歴史とどう付き合うべきか? 歴史のなかで人間の自由をいかに捉えるか?

<以下は、2021年3月のクラス便り>

 本クラスは、1920世紀の歴史を扱う研究書を批判的に読んでいくことで、現代の国内外の様々な情勢を複眼的に理解できるようにします。「批判的に読む」と述べたのは、具体的には、①著者の意見と先行研究や資料の引用とを明確に区別する、②各節・各章の話が全体を構成する際の「物語り」が成功しているかどうかを吟味する、③その上で読み手自身の批判的な視点を形成するよう努める、という3点に注意して読書を行う方法を身につけるということです。

 秋学期には『世界大恐慌:1929年に何がおこったか』(講談社学術文庫、2009年)をゆっくり読んでいきました。本書は1929年にウォール街から発生した全世界的な経済恐慌を扱うものです。なぜ20年代の合衆国で金融バブルが生じたのか、恐慌は(日本を含めた)各地でどのような影響を及ぼしたのか、合衆国は恐慌にいかなる手段を講じたのか、そして90年前の「世界恐慌」から我々が学ぶべき教訓は何か…といった問題を筆者は提起しています。

 本書はもともと学術書です。一線の研究者が多くの先行研究を整理した上で、独自の知見と視点を加え、自身の論理を展開するようなスタイルを取ります。専門家以外にも分かりやすくするために説明や補足事項を親切に入れてくれる一般書とは異なり、学術書は一定の専門知識をもった上で読まれるのを前提にしているのです。知らない用語が出てきたらそれを調べる必要がありますし、他の何冊かの入門書を読まねばならないこともよくあります。

 いずれにせよ、学術書を読むためには、それ相応のコツ(と精神的負担)を必要としますが、詳しくは授業でお話しするとして、ここでは皆さまの読書生活で最も基本的であり最も重要なこと、つまり書店や古本屋、図書館で本を手に取ったら最初にやるべきことを3つ挙げておきます。

 まずは、目次を確認することです。目次と睨めっこすれば、本全体の構成が、その本が何を扱っている(扱わない)かが分かるはずです。この時点で、自分の求めていることが書いていない本、もしくは題名と内容が一致していない本(タイトルや帯に「裏切られる」ことが昨今は多いのです)を読書対象から除外することができます。

 次に、著者を確認してください。多くの場合、本の裏表紙か末尾に著者の経歴が書いてあるはずです。その人はどんな経歴をもっているか、何を仕事(専攻)にしてきたのか、信頼できる業績をもっているのか。近年はブログやSNS発で一般書籍にデビューする場面が増えてきました。今まで注意されなかったけれど興味深い話題を扱う人が多い反面、不確かな証拠や扇情的なレトリックを売りにする論者も少なくありません。自分が読むべき本を見定めるための一つの指標として著者の経歴は参考になります。

 第三に、序章を精読することです。良書のほとんどは、序章を読むだけでその本質を十分に汲み取ることができます。その本が何を問題にしているか、その対象はなぜ重要なのか、何をどこまでどのように明らかにするのか、つまり研究全体の目的・背景・手段・範囲がそこに書かれているはずです。読者はその本から何を得られるのか(情報の性質と新規性)、逆に言えば「何(どの部分)を読まないべきか」をある程度、見極めることができます。

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