オンライン対応 現代世界史クラス(高校生・大学生・一般)  受講生募集中 ! 

 📖 テキスト例:『世界大恐慌ーー1929年に何が起こったか』(秋元英一著/講談社学術文庫) ほか

  金曜17:10~18:30  講師:吉川弘晃

 この授業では、19世紀後半以降の「現代世界史」を最近の歴史研究(新書など)を通じて学んでいきます。この20年間、特にIT技術の飛躍的な発展が政治・経済・文化、その他多くの局面で「世界の一体化」を推し進めましたが、その流れは16世紀(大航海時代)、さらに14世紀(モンゴル世界帝国)にまで遡るとも言われております。しかしながら、ヨーロッパで確立されたスタイルをもつ諸制度(資本主義・近代国家・衛生・大学・鉄道…)が不可逆的にその他の地域へ拡大していくという意味で、「世界の一体化」が不可逆な流れとなるのは19世紀半ば以降です。ただし、ヨーロッパからの影響は一方向的であったわけでなく、他方でアジアやアフリカの各地域から、こうした「西洋化」に対する自律的な反応(受容・反発・変容)が見られたことも(特に20世紀以降は)確かです。このように世界が本格的に一体化していく様を扱う「現代世界史」について、講師と学生が一緒にテーマを決めて学んでいきます。

<以下は、2021年3月のクラス便り>

 本クラスは、1920世紀の歴史を扱う研究書を批判的に読んでいくことで、現代の国内外の様々な情勢を複眼的に理解できるようにします。「批判的に読む」と述べたのは、具体的には、①著者の意見と先行研究や資料の引用とを明確に区別する、②各節・各章の話が全体を構成する際の「物語り」が成功しているかどうかを吟味する、③その上で読み手自身の批判的な視点を形成するよう努める、という3点に注意して読書を行う方法を身につけるということです。

 秋学期には『世界大恐慌:1929年に何がおこったか』(講談社学術文庫、2009年)をゆっくり読んでいきました。本書は1929年にウォール街から発生した全世界的な経済恐慌を扱うものです。なぜ20年代の合衆国で金融バブルが生じたのか、恐慌は(日本を含めた)各地でどのような影響を及ぼしたのか、合衆国は恐慌にいかなる手段を講じたのか、そして90年前の「世界恐慌」から我々が学ぶべき教訓は何か…といった問題を筆者は提起しています。

 本書はもともと学術書です。一線の研究者が多くの先行研究を整理した上で、独自の知見と視点を加え、自身の論理を展開するようなスタイルを取ります。専門家以外にも分かりやすくするために説明や補足事項を親切に入れてくれる一般書とは異なり、学術書は一定の専門知識をもった上で読まれるのを前提にしているのです。知らない用語が出てきたらそれを調べる必要がありますし、他の何冊かの入門書を読まねばならないこともよくあります。

 いずれにせよ、学術書を読むためには、それ相応のコツ(と精神的負担)を必要としますが、詳しくは授業でお話しするとして、ここでは皆さまの読書生活で最も基本的であり最も重要なこと、つまり書店や古本屋、図書館で本を手に取ったら最初にやるべきことを3つ挙げておきます。

 まずは、目次を確認することです。目次と睨めっこすれば、本全体の構成が、その本が何を扱っている(扱わない)かが分かるはずです。この時点で、自分の求めていることが書いていない本、もしくは題名と内容が一致していない本(タイトルや帯に「裏切られる」ことが昨今は多いのです)を読書対象から除外することができます。

 次に、著者を確認してください。多くの場合、本の裏表紙か末尾に著者の経歴が書いてあるはずです。その人はどんな経歴をもっているか、何を仕事(専攻)にしてきたのか、信頼できる業績をもっているのか。近年はブログやSNS発で一般書籍にデビューする場面が増えてきました。今まで注意されなかったけれど興味深い話題を扱う人が多い反面、不確かな証拠や扇情的なレトリックを売りにする論者も少なくありません。自分が読むべき本を見定めるための一つの指標として著者の経歴は参考になります。

 第三に、序章を精読することです。良書のほとんどは、序章を読むだけでその本質を十分に汲み取ることができます。その本が何を問題にしているか、その対象はなぜ重要なのか、何をどこまでどのように明らかにするのか、つまり研究全体の目的・背景・手段・範囲がそこに書かれているはずです。読者はその本から何を得られるのか(情報の性質と新規性)、逆に言えば「何(どの部分)を読まないべきか」をある程度、見極めることができます。

・クラス体験受付中! ▶ お問い合わせ・お申込みはこちらからどうぞ。