『小公女』を読む(西洋の児童文学を読むA、2021/2/25)

福西です。

『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)を読んでいます。

17章「この子がその子だ!」を読みました。

ラルフ・クルー(セーラの父)の娘を探しにモスクワまで行っていた弁護士のカーマイケル氏が帰国します。空振りだったという報告に、インドの紳士ことカリスフォード氏は落胆します。

「また一から始めなければならないな……」

と。そこで、元気を出そうと、カリスフォード氏は屋根裏部屋の女の子にしてやったことを話そうとします。その矢先、セーラがカリスフォード邸を訪れます。昨夜、屋根裏部屋に舞い込んだ子ザルを届けにきたのです。

まさにその瞬間、《魔法の精》が再び仕事についたのでした。

使用人のラムダスが、セーラを居間に通します。セーラがラムダスのことを「ラスカー」と呼んだことをきっかけに、セーラは自分がインドの生まれであることを話します。

「あのラスカーの方に、この子をお渡ししましょうか?」

「きみは、なぜあれがラスカーだとわかるんだい?」

<インドの紳士>は、少し頬をゆるめてたずねました。

「なぜって……ラスカーの方たちなら知っていますもの」セーラは、はなれたがらないこざるをラムダスに渡しながら答えました。「私、インドで生まれたんです」

<インドの紳士>が、がらりと表情を変えて、いきなり背筋を伸ばしたので、セーラは一瞬、びっくりしました。

「インドで生まれた?」

興奮したカリスフォード氏は、セーラがどうしてミンチン女学院の下働きとなったのかを聞き出します。そして、ついにこう尋ねます。

「……きみのお父さんの名前を……」<インドの紳士>が言いました。「……聞かせてくれたまえ」

「ラルフ・クルーといいます」

カリスフォード氏は、ついに良心の呵責を清算する機会を得たのでした。

 

セーラがカリスフォード氏に身の上を話すくだりでは、生徒たちの音読からも、「ああー」とため息が聞こえました。ここまで読むことができて、感慨深いです。

残すはあと2章です。