「はてしない物語」を読む(2020/2/6)

福西です。

『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)の「17 勇士ヒンレックの竜」の後半を読みました。(前回は「こちら」

バスチアンは、オグラマール姫に捨てられてしょんぼりするヒンレックと出会います。そこで一肌脱ぎ、スメーグという怪物の物語を作ります。すると本当にその怪物が町に現れ、オグラマール姫をさらっていきます。ヒンレックは勇んで姫を助けに行きます。この話は「けれどもこれは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう」となります。

一方、ヒンレックと別れたバスチアンには、3人の騎士が随伴します。いわゆる「取り巻き」ができます。

アトレーユも同行しますが、彼には別にはっきりと目的がありました。おそらくそのことを、フッフールの歌を聴いたあとから、ずっと考えていたのでしょう。「この危うい友達に、自分はいったい何ができるだろうか」と。

「きみはぼくが呼んだからファンタージエンに来た。今度はきみが帰り道を見つけるのを手つだうべきだと、ぼくは思っている」

アトレーユの胸にあるのは、バスチアンに対する心配です。しかしバスチアンにはそれがだんだん疎ましく、かつ疑わしいものになっていくのでした。

次回は『18 アッハライ』です。このあたりから、バスチアンに「内面の危機」の兆しが見えはじめます。