「白い盾の少年騎士」を読む(2019/12/6)

福西です。冬学期もよろしくお願いいたします。

『白い盾の少年騎士(下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)、第8章「最後の戦い」の8と9を読みました。

最後の戦いを控え、それぞれの思いが整理されます。

「8 イスラン城の女城主」では、イサドーロがイスラン城での責務を立派に果たし、父の跡を継いで女城主になります。けれども自分は孤独だと言って、リストリディンを引き留めます。しかし彼は「あなたの騎士は、もっと若い男にしなさい」と言って立ち去ります。

リストリディンは、高潔である結果、孤独を選ばざるを得ませんでした。一方、イサドーロは孤独である結果、高潔を選ばざるを得ませんでした。その二人が同時に「孤独でなくなる」という選択肢に対し、リストリディンは首を振るのでした。「わたしの道は不確かだ」と言って。

「9 決着の着いたチェスの対決」では、ティウリがいまだに一つのことで悩んでいます。「これまでの自分はよいと思ったとおりに行動してきたが、エヴィラン王とのチェスの決着がつく直前に逃亡したことは、果たしてよかったのかどうか」について。それをイリディアンに打ち明けたところ、彼は「このままではいけない」と言って、エヴィラン王の代わりにチェスを指し継いでくれるのでした。ティウリはてっきり「こだわってはいけない」と言われるものと思っていたので、驚きます。

チェスはティウリの負けでした。また、イリディアンはエヴィラン王の兄です。その彼が、こう言います。「賭けがあのときのままなら、そなたの命はわたしのもの、というわけだ。だが、わたしは、それをそなたに贈りかえそう」と。

こうしてティウリの心は、本当の意味で「捕囚の状態」から解放され、二度と後ろを見ずにすむようになったのでした。

 

次回は「不運の丘」です。ウナーヴェン国の双子の王子、イリディアンとフィリディアン(エヴィラン王)との現実の一騎打ちの「時」が迫ります。

 

 

 

 

 

孤独