『西洋の児童文学を読む』クラス便り(2019年2月)

「山びこ通信」2018年度号より下記の記事を転載致します。

『西洋の児童文学を読む』

担当 福西亮馬 

『王への手紙(上)(下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)を読了しました。20174月から201811月まで、約一年半の間、一回一章ずつのペースで進みました。受講生のみなさん、おめでとうございます。

現在は続編の『白い盾の少年騎士(上)(下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)を読み進めています。増えていく既読箇所を財産に、ますますアンテナを張っていこうと思います。

音読と、予習したこと(要約、語彙、共感、発見)を互いに報告することが、クラスの中身となります。講読のよいところは、複眼的に読めることと、斜め読みを封じることです。たとえば、類似表現を拾うことは一人では完全にしにくいものです。仮に、対になる二人の登場人物が、別々の章で同じ台詞を言っている、あるいは単語を一つだけ変えて言っている、といった場合、ほぼ間違いなくそこに作者の意図が伺えます。ですが、気付かないことには始まりません。計算と違って、文章というものは、解析に時間がかかればかかるほど、記憶に定着します。全体で引っかかる情報が増えていけば、作品の構造がよりはっきりしてきます。

最近では、予習の新しいメニューとして、それぞれ「質問」を考えてきてもらっています。一見当たり前に思うことでも、質問してみると、意外と別の人にとっては当たり前でないことがあります。それなので、あえて発言することが勉強になります。同じ意見であれば確認になりますし、違う意見であれば発見の糸口になります。

さて、来年度からはこのクラスの参加者はみな中学生に持ち上がります。時間帯は18:4020:00です。引き続き『白い盾の少年騎士』の読了を目指します。

一方、小学56年生にも、新規に1クラスを開きます(時間帯は未定)。こちらでは『はてしない物語』(エンデ、上田真而子訳、岩波書店)を読みます。

どちらのクラスにも、新たな参加者をお待ちしています。

 

【追記】

小学生の『西洋の児童文学を読む』は、木曜日の16:20~17:20を予定しています。(ただし受講生と講師の都合で、変更になることがあります)