西洋古典を読む(2018/11/15)

福西です。

『人生の短さについて』(セネカ、茂手木元蔵訳、岩波文庫)の15章を読みました。

生徒のA君の要約です。

学匠たちは死ぬことを教えてくれる。そして自分たちの年月を君に付け足してくれるだろう。望む者は彼らのもとから欲しいだけのものを抜き出せる。

彼らからの財産はけちけちして守る必要のないものであろう。この財産は他人に分け与えれば与えるほど増えていくものであろう。

彼らは永遠への道を教えてくれる。誰もそこから引きずり下ろせない場所へ持ち上げてくれる。これは死滅する生命を不死にする唯一の手段である。これ以外の者はたちまちにして崩壊する。英知によって永遠化されたものはいかなる時代も減らしはしない。

賢者はもろもろの制度から解放される。過去、現在、未来を賢者は一つに集めそれによって生命は永遠である。

冒頭の「死ぬこと」は、7章3節の次の文章を踏まえています。

「生きることは生涯をかけて学ぶべきことである。そして、おそらくそれ以上に不思議に思われるであろうが、生涯をかけて学ぶべきは死ぬことである」

よって、先の「死ぬこと」とは、「死を意識して生きること」だと言いかえられます。