『西洋古典を読む』(中学・高校生クラス)受講生募集中!

福西です。
こちらの案内記事に追記をしました。その部分の抜粋です。

このクラスでは、英訳と日本語訳を併用して読んでいます。英訳テキストは、『Seneca On the Shortness of Life』(C. D. N. Costa訳、Penguin Great Ideas、2005)、日本語訳テキストは『人生の短さについて』(茂手木元蔵訳、岩波文庫)です。

『人生の短さについて』(De brevitate vitae / On the Shortness of Life)は、現在17章を読んでいます。20章まである作品なので、もうすぐ読了します。

そこで、もし希望者があれば、次のテキストには、セネカ『心の平静について』(de Tranquillitate Animi / On Tranquillity of Mind)を読みます。『心の平静について』は、上記の英訳・和訳テキストのどちらにも収められています。

内容は、「もし何か薬をお持ちなら」ということで、セレヌスという人がセネカに不安を相談するところから始まります。「自分のこういうところが嫌で、くよくよするんです」と。今でいう「お悩み相談室」の乗りです。そこで、セネカが出した(言葉の)処方箋は、「自分に信頼し、自分は正道を歩んでいると信ずる」(茂手木訳2.2)ことだとあります。

セネカは、セレヌスの症状に対して、「十分に健康でないのではなくて、十分に健康に慣れていないのだ。」(茂手木訳2.1)と言います。砕けて言い直すと、「あなた(の精神)は十分に健康です。それについて十分に自覚していないだけです」と。これには、『人生の短さについて』でも見た「人生は十分に長い」の逆説を連想します。

いろいろなメディアを通じて、健康法やら勉強法やらで、「あれがないから」「これがないから」と不足を訴えられると、つい不安になってしまう現代人にとっても、ふさわしい切り口だと思います。これを2000年前の文章として読めるのです。

「だから?」という声も一方にはありますが、現代の問題を単に現代的な視点のみでとらえるよりも、過去から現代に通じる普遍的なケースとしてとらえなおす方が、隔靴掻痒の気持ちがより解消されるのではないかと考える次第です。

もしご興味を持たれた方には、日本語訳でもご一読をお勧めしますとともに、クラスへのご参加もお待ちしています。