「その10」からの続きです。 今回はYs君の番です。いよいよ物語も佳境です。

 店員は口をもごもごしながら、
「そ、それは、弟のです。」
と答えた。するとジョージがすかさず
「そうですか~。という事は、弟は未来人なのですね。という事は、双子の兄であるあなたも未来人ですね。」
ときっぱりいった。
「は、はい。」
店員は自信なさげに答えた。
「やっぱりか。」
と二人は言った。
その時、カランカラン。誰かが入ってきた。
「あっ。」
思わず、マウントは声をあげて驚いた。そう、入って来たのは双子の弟だったのだ。二人は、すかさず、弟をソファに座らせた。初めて、双子の兄と弟がそろったのだ。二人は興奮して、目を輝かせていた。するとまず、ジョージが口を開いた。
「この事件を知っていますか。」
「この事件とは?」
「兄の共同経営者の方が何者かに殺された事件のことですよ。」
「その事件なら知っていますよ。てか、それがどうしたんですか。」
と弟が言った。兄はとなりで泣きそうになりながら話を聞いている。
「この事件に、あなた方お二人が関係しているのです。」
「えっ?」
と弟が言った。兄はその言葉を聞いた瞬間、びっくりして泣きやんだ。
「なんて、こというんですか。そんな事ありません。」
と兄が反発する。
「それじゃあ、率直に申し上げましょう。この二人どちらかが。兄の共同経営者を殺した犯人なのです。」
「は、はぁ~。」
と弟が反応する。
「な、なんでそんなことが分かるのですか。」
と兄が言う。
「そ、それはですね。共同経営者の残した遺書には、『自分は殺されそうになっている。自分は、人が殺されているのを見てしまった。その犯人は、マスクとサングラスをしていて、その犯人が私を殺そうとしている。』と書いてあったのです。」
とマウントが割り込む。
「おぃ、マウント。ここはおれの見せ場だぞ。割りこむなよ。」
兄と弟は少し気まずそうな顔をして、にらみあっている。すると兄が、
「そ、それじゃあさっきのマスクとサングラスは犯人の私物なんですか。」
「そうです。それが犯人のものです。」
とジョージは決めた。そしてドヤ顔。
「早くどちらが犯人かを言い出さないと、マスクとサングラスから指もんかん定をして犯人を暴き出しますよ。」
兄と弟は顔がひきつっている。
すると弟が口を開いた。
「殺したのは兄だ~。」
この言葉を聞いて、ジョージとマウントはニヤついた。

(Ys君)

【コメント】
これまで双子の弟の存在は、その兄の話の中にとどまっていましたが、ようやく姿を現したことになります。そのことの興奮が「初めて、双子の兄と弟がそろったのだ。」という書きぶりからも伝わってきます。

この回はYs君が乗り乗りでした。(私の頭の中では、「率直に申し上げましょう。」の箇所など、Ys君の口ぶりがよく再生していました(^^))。今回は、張り切ったジョージが推理を全部執り仕切るのかと思いきや、実は途中、マウントのセリフだった、という箇所があります。そこにはY君の「伝えたい」という思いが先にあり、それを筆に乗せて、楽しんで書いてくれているように感じました。

「その12」へ続く。

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