『ラテン語中級講読』(クラスだより2008.2)

『ラテン語中級講読A・B』(担当:山下太郎)

「中級講読」のクラスでは、キケローの『友情について』とウェルギリウスの『農耕詩』を読んでいます。

『友情について』は岩波文庫にも入っているポピュラーな作品で、翻訳もすばらしいのでご一読をお奨めします。一方、『農耕詩』は京都大学学術出版会から翻訳が出ています。日本では知名度が低いようですが、ヨーロッパでは「最高の詩人による最高の作品」(ドライデン)と評価されています。

今これらの作品をじっくり読み直す機会を得て感じることは、どちらもある程度年齢を重ねてこそ味わえる作品だということです。ラテン語を学ぶ上で、文法や語彙の知識は不可欠ですが、これらの知識はラテン語を「読む」ための道具に過ぎません。「大人」の学習者には「年齢」(経験)という武器があり、ウェルギリウスやキケローの読解にこれを生かさない手はありません。今講読のクラスに参加されている方は、みな「山の学校」で初級文法を終えた方ばかりですが、読解を通じて文法と語彙の力を伸ばす一方、それぞれの立場で培ってこられた人生観を作家のそれと照らし合わせることにより、深く原文を読み解く楽しさを経験していただいています。

(山下太郎)