今号の山びこ通信(2013/2月号)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)

『ラテン語初級講読C』 (担当:前川 裕)

このクラスでは、セネカ『ルキリウスヘの手紙(倫理書簡集)』を継続して読んでいます。今学期は第49書簡から読み進めています。受講生は従前より引き続いて参加していただいている社会人のお二人で、いずれも高槻と神戸からと遠方ですが、熱心に通われています。講読の授業では、1回当たりLoebのテキストで15行前後を宿題とし、単語調べや訳を準備いただいた上で、授業において順番に訳読をするというスタイルです。授業では、基本的な文法事項(動詞の活用や、基本的な構文など)を随時チェックし、基礎知識を確認しています。日本語訳やLoebの英語訳も参照しつつ、どうしてそのような訳文になっているかということも考えながら読んでいます。

セネカの書簡は哲学的な内容を平易に語っている、創作の手紙です。エッセーよりもかなり短い単位で読み切ることができるので、達成感を味わうことができます。第49書簡は「人生の短さについて」と呼ばれており、同名のエッセーと共通するものがあります。机上の空論、無駄な議論を重ねていることで無駄にする時間はないのだ、と論じています。その中の一節に、「死は私を追いかけるが、人生は私から逃げていく」(Mors me sequitur, fugit vita.)というものがありました。死が後ろから常に迫っているのに、現世にうつつをぬかして本当に大事なことをする時間は無くなっていく、という含意でしょう。現代の私たちと全く変わらないことだと、むしろ瑣事にかまけることが多い現代にこそ生きてくる言葉だと思います。

テキスト読解が終わったあとは、おまけの話として、西洋古典に関する話題を提供しています。今期はラテン語のラジオ放送の録音を聴いたり、バチカンでラテン語教育の推進が始まったことなどを紹介しました。

都合により、私がこのクラスを担当するのは今期で終わります。これまでお世話になりありがとうございました。初級講読クラスそのものはもちろんこれからも続きます。次学期のテキストも引き続きセネカ書簡集の予定です。初級講読は、初級文法修了程度(独学でも構いません)でご参加でき、参加者に合わせた進度で進めます。興味を持たれた方はぜひごお問い合わせください。

(前川 裕)

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