漢文クラス(2012/2/6)

今回は、昨年から続けていた曹植「洛神賦」をようやく読み終え、その曹植の父・曹操の「短歌行」を読み始めました。

今回から、胡克家本『文選』の景印本のコピーを、メインのテキストとして使うことにしました。
胡克家というのは清朝の人の名前で、その人が持っていた南宋本(宋代に印刷された本)の『文選』をもとに作られた(文字通りの)「復刻本」が胡克家本です。私たちの漢文クラスでこのテキストを使用するにあたっての利点は、唐代の李善という人が作った注が本文と一緒に載っているので、解釈をする際の参考になるところです。
ただし、李善注の意味を理解しなくてはなりませんので、そこは頑張って読む必要があります。
また、それ以上に大変かも知れないのは、このテキストは清朝に彫られたときのままの見た目、もっと言えば、宋の時代に作られたときのままの姿をしていますから、とうぜん、句読点も括弧も付いてはいないので、初めて見る場合には、ちょっと読みにくいということです。

今回、そんなテキストを敢えて選んだのは、決まったところで「、」「。」を置くことができる「詩」という文体ならば、そんなには不便はないだろうと思ったのと、受講生のお二人の読む力が、以前よりもどんどん上がってきていると感じたからです。
李善の注の部分は、最初からすいすい読むというわけにはいきませんが、「きまり」を憶えて、「慣れて」しまえば、すぐに点を切るのが楽しくなってくるはずです。

○さて、「酒を飲むなら歌え歌え」と始まる「短歌行」は、曹操という希代の英雄の波瀾の生涯をもとにして、古来、様々な解釈がなされてきたようです。
いま、そういったことをあまり頭に入れずに読んでみると、「酒を飲んでいやなことを忘れよう」もさることながら、「懐かしい友人と、またいつか一緒に酒を酌み交わしたい」という、ある程度の年齢に達した大人ならば、誰しも考えたことのあるようなことの方が印象に残りました。

詩を読むためには、意味の理解だけではなく、耳で聴いたときの音にも注意しなくてはなりませんので、次回からは、そういったお話もしていければと思いました。

木村