漢文クラス(2011/10/31)

今回も『説苑』復恩篇を読み進めました。
開講から約2ヶ月にわたって取り組んできた『説苑』も、いよいよ大詰めです。

次回は『説苑』の残りの文章を読んでから、蘇軾の「魏武帝論」に入る予定です。
蘇軾(1036-1101)は北宋に生きた政治家、学者、文人とひとりで何でもこなした天才で、「蘇東坡(そとうば)」の名でよく知られています。
一般に、唐代には「詩」(いわゆる「漢詩」)が流行したのに対して、宋代は「詞」が盛んであったとされています(詩、詞はいずれも文体名)。
そのため、NHKの「漢詩紀行」などで取り上げられている詩人の8割を占めているのは、唐代の人物です。
それにもかかわらず、東坡詩の同番組における比率は、李白・杜甫に次ぐ多さで、その人気がうかがえるでしょう(数字や量にかかわる事項はあくまで個人の“印象”ですが)。

と、このような説明をしておきながら恐縮ですが、私たちの漢文クラスでも蘇軾の詩を読むのかというとそうではなく、前述のとおり「論」と呼ばれる文体の作品を二題ほど読んでみようと思っています。

その一つめは「魏武帝論」ですが、これは魏の武帝、つまり三国時代の英雄・曹操(155-220)について、蘇氏なりの利害・得失の計り方を踏まえながら論じたものです。
世の中には曹操ファンは数多く、関連の著書はもとより、インターネット上にもたくさんのサイトが見つかりそうな気がします。
そういった本やサイトでは、おそらく、あまり紹介されることのないであろう蘇軾の曹操観を、原文から読み解いていきましょう。

木村