福西です。

「前回」、定義を説明したので、それを使って、実際に命題を証明していきます。

この日はA君がお休みで、R君とのマンツーマンでした。R君は、以下の4つを証明(また作図の根拠を説明)しました。

命題1.1

「与えられた直線を一辺とする正三角形を作図すること。」

命題1.2

「与えられた直線と同じ長さの直線を与えられた点から作図すること。

命題1.3

「長さが異なる二つの直線が与えられたとき、長い方から短い方の長さを切り取ること。」

命題1.4

「二つの三角形において、二つの辺がそれぞれ等しく、その二辺に挟まれる角も等しいならば、底辺も等しく、二つの三角形は等しい。そして、等しい二辺に対する残りの角もそれぞれ等しい。」

 

平面(ユークリッド)幾何の世界では、使える道具は、「コンパス」と「ものさし」だけです。そして現在と違って、当時のものさしには目盛がついていません。つまり、ものさしとは、ただ「線を引く」ための道具です。では、「長さ」を測ったり、移したりするには、何を使えばいいでしょうか? というと、「コンパスです」とR君は答えてくれました。

実はコンパスは、円を描く道具というだけでなく、ある線分の端から端までの長さを「写し取る」ということができる道具でもあります。

命題1は、何を言っているかというと、まず、ものさしで適当な長さの線を引きます。そして、その線を1辺とする正三角形を描くには、どうしたらいいか?ということです。

命題2は、1よりもむしろ簡単かつ基本的です。どういうことを言っているかというと、これもまずものさしで適当な長さの線を引きます。そして、今度は「別の場所」に、さっきのと同じ長さの線が引けるか?ということです。

なんだ、当たり前という気もしますが、そこで思い出すのは、コンパスです。コンパスの二つの先を、与えられた線の両端にあてます。そうすることで、それをそーっと好きな場所に移動すれば、同じ長さの線が「コピーできる」というわけです。ただし、それをかっこよく説明するならば、コンパスをそーっと動かすだけでなく、それできちんと「円」をかいて、そして「円の半径は、どこも等しい」という、先週確認した「定義1.15より」という言い方をすれば、もう完璧です。

これで、「長さを写し取る」ことができることになりました。

#ちなみに定義とはつまり「ルール」のことです。そして、そのいくつかのルールで、「どんな遊びができるか?」というのが、幾何の楽しみ方です。それを味わってほしいと思います。

続いて、命題3も、命題2とほとんど同じことを言っていますが、長い線を任意の場所で区切るには、どうすればいいか?ということです。そこで、さっき証明した命題2が役に立ちます。「円」で説明することになります。

そして、命題4は、「二辺夾角」(合同条件の一つ)の証明です。これだけやたらに文が長いわけですが、今度はどう証明すればいいでしょうか? というところで、R君はさっそく以前得意だった、「背理法」を持ち出してくれました。それで、「辺が等しい」という命題の前半の部分と、「角が等しい」という後半の部分とを、どちらもうまく証明してくれていました。(「同様に」などの小手技も、そのとき教えられました)

次回は、続きから証明していきましょう。

A君がお休みだったので、前後でずれてしまうことになりますが、どのみち、いつかはずれてくると思うので、足並みについてはあまり気にせず、マイペースで登って行ってください。

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