岸本です。

今回は伊丹万作の『カタカナニツイテ』を読みました。

 

『カタカナニツイテ』は、映画人として著名な伊丹万作が、活字としては平仮名を使うのをやめ、片仮名のみを使おうという主張を展開する、少し変わった作品です。

彼は十の根拠を示すのですが、「ヒラガナノ活字ハソレ自身ガ美シクナイ」や「ヒラガナハ活字ニ適シナイ」といった感覚的なものもあれば、画数や直線が多い「カタカナハヒラガナヲ書ク場合ニ比シテ、オソラク半分ノ労力デスム」やそのような効率的な片仮名に統一することで「日本語ノ学修、普及ガ現在ヨリ容易ニナル」といった、説得力のある根拠もありました。

生徒さんとは、まずそれぞれの根拠に共感できるかどうかを確認していきました。

1943年の執筆当時と、70年後の現在とでは状況が違うため、理解しがたい根拠もありましたが、逆に、片仮名の起源や特徴など教えられる部分もありました。

全ての根拠を検討した後、生徒さんは、活字を片仮名に統一するという主張をどう思うのかを書いてもらいました。

生徒さんは、伊丹の主張に反論し、根拠として平仮名と片仮名、漢字の入り混じった日本語の表現力と、その独自性を挙げていました。

とくに、擬音語に着目し、「がたん」と「ガタン」では読み手のとらえ方が違うとしたところは、説得力を持つ具体例としてよかったと思います。

また、すべて漢字とカタカナを用いたこの作品は、伊丹の有言実行を表しますが、やはり生徒さんにはそれが読みにくいと映ったようです。

同じ音でも、目による理解という点では、平仮名もあったほうが理解しやすいと生徒さんは考えたのです。

今回の伊丹の作品は、前回の九鬼周造の外来語批判と合わせて、いま当然のように一つしかないと思っている日本語が、さまざまな主張にさらされ、形成された一つの結果に過ぎないことを示してくれます。

現存の言葉を過信することなく、適切な表現を探求していくことが、真の国語力につながるのではないでしょうか。

 

残りの時間は、いつも通り新聞記事を読解し、一部を書き写す取り組みを行いました。

来週も、言葉に関する短い文章を読んでいければと考えています。

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