高木です。

今日も、授業のはじめに、みんなで賢治の『烏』の朗読をしました。
これで三週目になります。
みんな、この詩が持つ「音」に、だいぶん馴染んできたようです。

「読書が苦手だ」と言っていたH君も、一度もひっかからずすらすらと朗読できるようになりました。
またA君は、声に強弱をつけたり、抑揚をきかせたりして、情感ゆたかに朗読してくれました。
A君の朗読を聴いたH君は、二巡目では抑揚をつけて朗読してくれました。
二人とも、詩の「音」を楽しんでくれているようでした。
また、お互いに刺激し合う良い関係が生まれているようです。
(K君は学校のクラブの影響で遅刻していて、残念ながら朗読には間に合いませんでした。来週に期待!)

朗読の後は、先週、途中まで進めていたこの詩の感想文を書いてもらいました。
以前「自己紹介文」に取り組んだときと同じく、原稿用紙に向かう彼らは真剣そのもので、
思わず胸にぐっとくるものがありました。

書いている途中で、少し前に書いた内容につけ足したいことが見つかったH君は、
以前の自己紹介文のときは、註釈記号をつけて文章の途中に書き足してくれていましたが、
今回は、別の原稿用紙に最初から書き直してくれていました。
もちろん初稿なので、別に註釈記号をつけても構わないのかもしれませんが、
それよりも、こうして自分の文章に真摯に向き合い、書き直しを惜しまない姿勢が素晴らしいと思いました。
今日も、自分の手の黒ずみを見て「おお、こんなに!」と驚き、ニコニコしていました。

そのH君が、向かいの席に座っているK君がすらすらと文章を書く様子を見て、
「なんでそんなに速く書けるんやろうな…」と感心していました。
私には、そのときK君が言った言葉が、非常に印象に残っています。
「でも本当に大事なのは速さじゃない。
ゆっくりでも、じっくり考えて書けてるんやから、それで良いと思う。大事なのは内容や。」
本当にその通りだと思います。
H君は、作文クラスの先輩に「うん、わかった」とうなずいて、
顔を原稿用紙にくっつけるようにして、続きに取りかかりました。

そういう意味では、A君もまた、熟考と推敲を重ねるタイプです。
彼は原稿用紙に書きはじめる前に、
しばらくの間、頬杖をつきながら、じっと空中の架空の一点を見つめています。
それからおもむろに書き出して、一段落書けば、また立ち止まり、考えにふけります。
またA君は、詩の本文の知らない言葉については既に調べたはずなのに、ときどき広辞苑を引きます。
なぜか。
彼は、既に知っている言葉についてもっと深く知るために、辞書を引いているのです。
彼からは、この『烏』という詩についてとことん考え抜いてやるぞ、という静かな気迫が伝わってきます。

蓋を開けてみれば今日も、最初に朗読に取り組んだのを除けば、
一コマまるまる原稿用紙に向き合っていました。
しかも、その一時間以上の間、彼らはけっして緊張感と真剣さを失いませんでした。
彼らの集中力もさることながら、その持続力も大したものだと思います。

次回は、今日書いた感想文を発表してもらいます。
それから、互評と添削へと移ります。

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