0121 数学高校

浅野です。

Kさんには微分の範囲の小テストの前に質問はないかと尋ねました。そうすると「増減表のy’=0まではわかるけれどもそこからグラフを描くのがわからない」とはっきり言ってくれました。ここまで自分の理解具合を把握していたら少し説明するとすぐにわかってくれるのではないかと直感しました。

そもそもグラフにおける微分の意味とは何かというところから外堀を埋めて、一通りの説明をすると期待通りにすぐに理解してくれました。本当に理解できたかを確認するために教科書の練習問題をいくつか解いてもらいました。しっかりとグラフが描けています。次はそれを少し応用した問題を解いてもらいました。やはりきちんとできています。そうこうして夢中になっている間に時間が終わってしまいました。もう増減表は大丈夫です。

今回スムーズに進んだ秘訣は自分がどこまでわかっているかを正確に把握していたことです。帰り道にKさんとそうした話をしていると、背景に家での努力があることがわかりました。「学校が休みのときに自分で増減表を追究した」そうです。

Aさんは三角関数の続きで、積和、和積の公式へと進んでいました。公式を見ればわかるけれども自分の中でしっくりと来ないという感想を聞いたので、しばらくいっしょに考えてみました。具体的には次のような計算です。

① cos75°sin15°
② sin105°+sin15°

教科書や参考書の公式を当てはめれば解けますが、それだと単なる作業で面白くありません。ここは加法定理から原理的に考えてみましょう。

加法定理はcosとsinでそれぞれ(α+β)と(α-β)があるので全部で4種類です。①の問題はcos×sinなのでsinの加法定理の2種類を書き出します。

sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ…(ア)
sin(α-β)=sinαcosβ-cosαsinβ…(イ)

欲しいのはcos×sinなので(ア)-(イ)をしましょう。

sin(α+β)-sin(α-β)=2cosαsinβ
cosαsinβ=1/2{sin(α+β)-sin(α-β)}

と積和公式を導くことができました。あとはこのαに75°、βに15°を代入して計算をすると答えは(2-√3)/4となります。

②も一般形の公式を導いてもよいのですが、ここではいきなり具体的な数値で計算してみましょう。

 sin105°+sin15°
=sin(60°+45°)+sin(60°-45°)
=sin60°cos45°+cos60°sin45°+sin60°cos45°-cos60°sin45°
=2sin60°cos45°
=(2)*(√3/2)*(1/√2)
=√6/2

最初の変形を思いつくかどうかが鍵ですが、105°と15°を足して2で割ったもの、つまり60°から同じ角度を足したり引いたりするとうまくいきます。

「しっくりと来ない」というAさんの感覚を大事にしたいです。