『赤毛のアン』を読む(西洋の児童文学を読むB、2022/9/2)(その2)

福西です。(その1)の続きです。

馬車での帰り道、アンはほっとして、ブリュエット夫人のことを “like a gimlet“「錐みたいな」人だったと言います。

これはおそらく、ブリュエット夫人がアンのことを先に、”you’re wiry.”「あんたは針金みたい(に芯がありそう)だ」と言ったことを受けていると思われます。

マリラは、目上の人に対してそんなことを言ってはいけない、とアンをたしなめます。ですが、心の中では同感している様子がうかがえます。

夕方、二人が帰って来たことで、マシューはほっとします。マリラは、マシューが口出ししないことを条件に、アンを育てる(試験期間を置く)ことにします。ですが、そのことをアンにはまだ伝えていません。

 

『英語で楽しむ赤毛のアン』(松本侑子/対訳・解説、the japan times出版)をガイド役に、以下の原文を読みました。(6章 Marilla makes up her mind)

Mrs. Blewett darted her eyes over Anne from head to foot.

“How old are you and what’s your name?” she demanded.

“Anne Shirley,” faltered the shrinking child, not daring to make any stipulations regarding the spelling thereof, “and I’m eleven years old.”

“Humph! You don’t look as if there was much to you. But you’re wiry. I don’t know but the wiry ones are the best after all. Well, if I take you you’ll have to be a good girl, you know—good and smart and respectful. I’ll expect you to earn your keep, and no mistake about that. (…)

Marilla looked at Anne and softened at sight of the child’s pale face with its look of mute misery(…)

spelling thereofは、「それ(Anne)の綴り」の意です。

「eの付いたアン」だと言うことを言い出せない一事から、アンの硬直ぶりがうかがえます。

 

また、I’ll expect you to earn your keepには、自分なら、どんな訳にしようかな、という話になりました。

村岡花子訳では、「食べさせてやるんだから、それだけの働きをしなくちゃね」

松本侑子訳では、「自分の食い扶持ぐらいは稼ぐんだよ」

となっています。ここは十人十色の箇所だろうなと思います。

受講生のIさんが、

「日本語訳を『難しい』と感じた時、原文を見ると、そっちの方が分かりやすいことってありますね」

とコメントしてくれました。

まさにその通りだと思います。