『リンゴ畑のマーティン・ピピン』を読む(西洋の児童文学を読むC、2022/9/1)(その2)

福西です。

(その1)の続きです。

 

ホブは、弟たちのシャツから(魔法の)糸を解くように、マーガレットに命じます。そのかわり、自分のシャツを好きにしてよい、と。

そして、仕立屋としてのマーガレットに、服を依頼します。

「いつかわたしの妻となるひとのために、白い服をつくってもらいたい。」

と。それはマーガレットにとって、恋人の頼みではなく、客との商売上の契約だと思われたことでしょう。

ホブはその服を「明日の夜に取りに来る」と告げて、オープン・ウィンキンズを出ます。

 

領地に戻ると、すっかり元通りになった弟たちがホブを出迎えます。

ライオネルは幸福に、ヒューは勇敢に、ヘリオットは優雅に。そしてアンブローズは賢明に。

ホブは、マーガレットが約束を守ってくれたのだと悟ります。

アンブローズ以外の弟たちはオープン・ウィンキンズのことを忘れていますが、アンブローズは覚えていました。

「あのひとが、あなたにあたえたものは、何です。」

そのアンブローズの問いには答えず、ホブはただ一人で、自分の庭へ向かいます。

すると、そこには金色のバラが咲いていました。ホブの念願がかなったのです。

けれどもその花の奥に、黒い蛇がとぐろを巻いていました。

ホブはそれを見て、喜びます

そして、マーガレットのいる森へと、急いで戻ります。

金髪の中に一筋の黒髪を隠す、愛しい人のもとへ。

 

このあとの展開は、だいたい予想がつくと思います。

あの注文した白い服は、誰のためのものか、と。

 

しかし、そこで、さらに読者を裏切るどんでん返しが待っています。

それは次回のお楽しみに。