『リンゴ畑のマーティン・ピピン』を読む(西洋の児童文学を読むC、2022/9/1)(その1)

福西です。

『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳)、第4話「オープン・ウィンキンズ」を読んでいます。

読んだ個所は、下巻p64-73です。

いよいよ佳境です。ホブはマーガレットの秘密を知ってしまいます。

 

嵐の夜、ホブはマーガレットの小屋を訪れますが、彼女はいませんでした。

暗闇の中、ホブは室内で、弟たちのシャツを見つけます。

ホブは、弟たちの症状の原因が、これだと悟ります。そして弟たちがオープン・ウィンキンズに来たこと、それをマーガレットが秘密にしていたことを確信します。

「わたしはいま、これまでにないほどの勇気を必要としている。」

勇気は、弟のヒューの特性です。ホブは、紅林(The Red Copse)へ急ぎます。

紅林の中は暗く、蛍が飛んでいます。その蛍でさえ引き返すような、暗闇の一番濃い場所に、ホブはたどり着きます。

そこには、黒い泥の沼がありました。

沼には虫や蛇といった、人の忌み嫌う生き物がうごめいています。

そのほとりで、金髪を泥に浸している人影がありました。

マーガレットでした。

水浴びの儀式を終えて、うっとりと顔を上げた彼女。その目がホブの目と合ったとき、彼女の恍惚が怯えに変わります。

「いまこそ、わたしは、かつてなかったほどふかく考えなければならない。」

知恵は、弟のアブローズの特性です。ホブは、注意深く、マーガレットに話しかけます。

「わたしたちには、今夜、たがいに果たすべき約束があった。いま、その約束を果たすことにしよう。」

ホブの他人行儀の口調に、果たしてマーガレットの思いはどんなものだったのでしょうか。

 

(その2)へ続きます。