西洋古典を読む(2022/7/13)

福西です。

ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。

9巻の590-690行目を読みました。

トロイア人が砦から出てこないことに対し、イタリア陣営からヌマーヌスという者が罵り声をあげて徴発します。

それに怒ったアスカニウスが、ユピテルに祈りを捧げながら、矢をつがえます。

まるで那須与一のようです。ユピテルを示す雷が鳴ります。願いは聞き届けられ、矢は見事、ヌマーヌスを打ち抜きます。

それに対し、今度はアポッローが人間に化け、わざわざ天から下りてきて、褒めてくれます。

「あっぱれだ、新たな勇武を見に享けた子よ。これが星へと至る道だ、(中略)そなたはトロイアに収まりきらぬ」(9.641-4)

原文では以下の通りです。

9.641-4

‘macte nova virtute, puer, sic itur ad astra,
(中略)
nec te Troia capit.’

【直訳】

新しい武勇で(nova virtute)立派な者よ(macte)、少年よ(puer)、

道は(itur)このように(sic)星へ(ad astra)(至る)。

(中略)

トロイアは(Troia)お前を(te)捕まえない(nec capit)。

とあります。最後の表現が原文では一層印象的でした。

 

次回はまたトゥルヌスの活躍が描かれます。