『海の王国を読む』を読む(ことば2~3年、2022/4/27)(その2)

福西です。

(その1)の続きです。

これでめでたしめでたしなのですが、しかし、こうも思います。

最初の二人の犠牲を、どう受け止めたらいいのかと。

まるでその犠牲は、王子が切り落とした自分の手首のように、「自分のものなのだから、自分がその痛みを我慢すればいい」という感じです。

一つのことに対する集中力と熱意には非凡なものがあるけれど、どこか他人の視点を持たない自分中心的な性格をにおわせます。おそらく、この王子の内面の世界では、自他が分離できていないのでしょう。だから他人を、自分の目的のためにモノ扱いしてしまうのでしょう。

似たような性格の主人公に、イタリアの昔話の『三つのオレンジ』の王子を連想しました。このお話も、王子が美しい娘を求めて旅し、三つのオレンジを持ち帰ります。けれども喉が渇いてオレンジを割り、中から出てきた姫の命を二つ、台無しにします。