『赤毛のアン』を読む(西洋の児童文学を読むB、2022/4/15)

福西です。

『赤毛のアン』(モンゴメリ、村岡花子訳、新潮社)を読みはじめました。

最初は、舞台となるプリンス・エドワード島の地理や風土について確認しました。

そして、エピグラフの詩を味わいました。

天空の導きの星が汝の運命を定め、

活気と火と露もて汝の魂を創り給いし

──ブラウニング

The good stars met in your horoscope,

Made you of spirit and fire and dew.

Browning

ちなみに文春文庫の松本侑子訳では、

「あなたは良き星のもとに生まれ 精と火と露より創られた」

です(こちらの方が意味は取りやすいと思います)。

このエピグラフからは、アン(を主人公にした作品)の誕生に対する、モンゴメリの惜しみない愛情が感じられます。

「想像力」という内面のプレゼントを、神から(モンゴメリを通じて)持たされたアン。彼女の前途が、たとえ狭められることがあっても、その道全体が幸福の光で包まれていることを、作者は祝福し、予言し、応援しています。

この作品は、ブラウニングに始まり、ブラウニングに終わります。

「神は天にあり、世はすべてよし」

God’s in his heaven

all’s right with the world

─”Pippa Passes”,Browning

という、ブラウニングの詩(『ヒバが通る』の一節)でもって閉じられます。アンのセリフです。

ぜひそこまで読んで、たどり着きましょう。

 

テキストは、p5~p10、1章「レイチェル・リンド夫人の驚き」(Mrs. Rachel Lynde is Surprised)の前半を読みました。読んだ個所を要約すると、以下の通りです。

六月のプリンス・エドワード島。レイチェル・リンドはブライト・リバー駅へ向かうマシュー・カスバートを目撃する。マシューは馬車に乗り、めかしこんでいる。リンド夫人は何事かと思い、好奇心がうずく。さっそくマリラ・カスバート(マシューの妹)の家、グリーン・ゲイブルズを訪問する。

ちなみに、冒頭(原文はこちら)で出てくるレディーズ・イア・ドロップス(ladies’ eardrops)は、こんな花です。

ホワイト・アン(京都府立植物園にて撮影)

釣浮草、フクシアです。プリンス・エドワード島では、六月に咲くんですね。

 

最後に、映画の『赤毛のアン』(ミーガン・フォローズ主演、ケビン・サリバン監督、1986年)を見ました。今日読んだ個所の、リンド夫人とマリラの会話のシーン。それと、つぎに読む箇所の、マシューがブライト・リバー駅でアンを馬車に乗せるシーンを見ました。(約10分)

 

【備考】

『赤毛のアン』は、古い版だと、エピグラフのブラウニングの詩と、37章のマリラの告白が割愛されています。それが新しい版(平成20年以降)では復活しています。

このクラスでは、新しい版をテキストに使用しています。