山びこ通信2021年度号(2022年2月発行)より下記の記事を転載致します。

『ドイツ語初級』『ドイツ語講読』

担当 吉川弘晃

 このクラスでは、生徒さんのレベルや要望に合わせて、内容を設定していますが、様々な種類のドイツ語の文章を正しく読めるようになるという目的は一貫しております(初級・講読の各クラスについてはホームページの説明をご参照ください)。
この授業では「読解力」の習得に力点を置いていますが、それは「作文力」「聴解力」「会話力」と連動しているため、結局のところ、これら4つの力を総合的に鍛えていくのは、どの言葉を学ぶにせよ最も大事です。そして何よりも全ての基礎体力になるのが語彙力です。特にドイツ語は、標準レベルの言語運用で必要とされる語彙数が、他の西欧諸語と比べた場合、圧倒的に多いと言われています(フランス語:2000語、英語:3000語、ドイツ語5000語)。ドイツ語は初球から中級にレベルアップするのが難しいのは、恐らくは基礎文法をせっかく習得しても、膨大な語彙が第二の壁として立ちはだかっているからでしょう。そのため授業では、ドイツ語の語彙に親しみ、それらを効率よく頭に入れるコツに触れるようにしています。今回は、皆さまの日々のドイツ語学習に役立つ教材を紹介しましょう。

⑴ 橋本政義『会話と作文に役立つドイツ語定型表現365』三修社、2016年
ドイツ語で頻繁に使われる熟語表現を厳選したもの。「zum Abschluss最後に」や「darüber hinausその上」といった簡単なものから、「et4 auf die leichte Schulter nehmen~を軽く考える」などの少しこなれたものまで載っており、各表現には4つの例文が用意されています。付属CDの音声ファイル(mp3形式)を携帯端末に入れたり、冒頭数頁の表現一覧をコピーして持ち歩けば、仕事の合間にでも学習できるでしょう。

⑵ Friedrich Clamer/ Erhard G. Heilmann, Übungsgrammatik für die Grundstufe(4 Aufl.), Meckenheim: Liebaug-Dartmann, 2007.
ドイツ語の初級から中級者(欧州基準A2~B2)向けの練習用ドリル。問題はほぼ穴埋め形式か書き換え形式で、真面目にこなそうとするとすれば骨が折れるが、その分、実力は身につくでしょう。本書は助動詞や形容詞、受動態といった単元別に構成され、また分離動詞の前つづりや動詞のコロケーションといった語彙に関する項目も多いので、苦手な分野を集中的に勉強する際にも便利です。Helmut Röllerによる解答編(Lösungen)が別売りされているので、問題編と一緒に入手することをお勧めします(いずれもオンラインで購入可能)。

⑶ Deutsche Welle ”TOP-THEMA” https://dw.com/
「ドイツの波Deutsche Welle」はドイツ連邦政府が各国語で提供している放送事業です。いわばNHK World Newsのようなものと考えてください。そのドイツ語版放送は、ドイツ語学習者のためにレベル別に多くの教材を提供していますが、特にお勧めするのが「TOP-THEMA」です。最近の様々なトピックを取り上げた2~3分ほどの動画に、スクリプトだけでなく、音声ファイルや主要な表現、そして内容に関する問題が付属しています(この問題はドイツ政府公式の語学資格Goethe-Zertifikatのリスニング対策になります)。これを真面目にこなすだけで、4つの力を総合的に(しかも無料で)身につけることができるでしょう。

以上、お勧めできる教材を3つほど紹介いたしましたが、何より大事なのは、自分の目標やレベルに合わせ、可能な限りで学習を続けていくことです。体調を崩したり、気力がなくなったりしたら元も子もありませんから、自分の学びの欲望を刺激するための仕掛けを意識しながら学習を続けてみてください。

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