山びこ通信2021年度号(2022年2月発行)より下記の記事を転載致します。

『ギリシャ語初級』A(週1コマコース)・B(週2コマコース)、『ギリシャ語中級』、『ギリシャ語上級』
『やさしいラテン語入門』、『ラテン語初級』、『ラテン語中級』、『ラテン語上級』

担当 広川 直幸

 今年度も昨年度と同様、時間割が乱れるなど新型コロナウイルス感染症の影響が多少はあったが、授業は概ね順調に進んでいる。

 ギリシャ語は、まず、初級の授業がどちらも教科書の終盤に入った。週二コマコースの方は今年度中に教科書を学び終えることができるかもしれない。週二コマコースを受けている英語が非常に苦手な受講生は、初めは教科書の英語すらよく分からない状態であったが、今では英語よりギリシャ語の方が分かるという妙な状態になっている。この先、講読をする際に最低でも英語が読めなければならないので、英語の学習にも力を入れて欲しい。さて、この授業で教科書に用いているThrasymachusは、私が知る限り最良の教科書ではあるものの、-μι動詞の大半を後回しにしていることが弱点の一つである。不規則な-μι動詞はどれも最重要語彙なので、気を引き締めて最後の登り坂を登り切ってくれることを期待している。次に、中級で読んでいるヘーロドトス(Barbour, Selections from Herodotus)は、ずいぶん以前から読んでいるが、現在、ようやく七巻のテルモピュライの戦いまで進んだ。バーバーの選文集は八巻のサラミス海戦までなので、この授業のヘーロドトス講読も終わりが見えてきたと言える。この授業は昨年度まで二週に一回だったのを今年度から毎週一回に変更した。やはり、毎週授業がある方が上達が早い気がする。この授業の受講生はやや音読が苦手なので、予習の際に音読をすることを習慣にしてもらいたい。最後に、上級はエウリーピデースの『バッカイ』の最後の部分まで進んだ。この授業では文法的読みを徹底的に実践していて、註釈書の内容はもちろん校訂に関しても文法的観点から妥当であるか否かを逐一検討しながら読み進めているのでかなり時間がかかったが、その甲斐あって受講生も私も得るところが多かった。『バッカイ』読了後はソポクレースの『オイディプース王』を読むことになっている。山の学校で『オイディプース王』を読むのは久しぶりであり、また、その間に新しい校註書が出版されたので、今から読むのが楽しみである。

 ラテン語はというと、まず、やさしいラテン語入門は、当初の二学期で終えるという予定から少しはみ出してしまったが、三学期目に入って教科書を一通り終えることができた。今学期の残りの時間はカイサルの『ガッリア戦記』を読みながら文法の復習をすることになっている。次に、初級はLingua Latinaを順調に学んできた。以前、私のギリシャ語初級を受けた受講生に教えているので、ギリシャ語とラテン語に共通している文法概念の理解度が高く教える側としては大いに助かった。残念なことに、受講生の都合で冬学期は休講になってしまったが、来年の春学期から再開する予定である。そして、中級ではプラウトゥスの『プセウドルス』を読んでいる。この授業では『プセウドルス』の前に『捕虜』を読んだので、プラウトゥスにはある程度慣れてはいるはずなのだが、『プセウドルス』の初めの歌の韻律が非常に厄介で手こずっていて、部分的にはお手上げ状態である。それでもやはりプラウトゥスの劇は生き生きとしていて面白い。最後に、上級ではホラーティウスの『カルミナ』を読み始めた。私は元来ウェルギリウスやホラーティウス、キケローやセネカといった正統派の古典ラテン文学に対してあまり魅力を感じないので、ホラーティウスも受講生に頼まれた時には気乗りしなかったのだが、以前に比べるとラテン語に対する苦手意識もだいぶ和らいだので、魅力を発見できるのではないかと期待している。

 さて、来年度の授業も今年度とあまり変わりはないが、ギリシャ語初級に関しては、今年度で終わったら、新たに受講生を募集する予定である。圧倒的に学習効率が良いので、できれば週二コマコースを受講してもらいたいが、それが無理であるならば、週一コマコースで開講する。また、一年程度で学び終えるギリシャ語とラテン語の文法中心の授業を開講しようかとも考えている。文法中心の授業とは要するに大学で用いているような教科書を用いる授業のことである。そうしようと思った理由は、私が初級で使っているThrasymachusLingua Latinaの方が圧倒的に総合的語学力が付くのは間違い無いのではあるが、如何せん学び終えるのに二年程度かかるし、日本で出版されていて大学などで用いられている教科書の方が学びやすいという人もいるかもしれないと思ったからである。文法中心の授業はリモート対応にするつもりである。興味のある方は是非問い合わせていただきたい。

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