『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』A・Bクラス便り(2022.02)

山びこ通信2021年度号(2022年2月発行)より下記の記事を転載致します。

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』A・B

担当 山下大吾

 初級文法クラスでは、教科書として岩波書店刊田中利光著『ラテン語初歩 改訂版』を用い、2学期24回で全51課に取り組むスケジュールになっております。春学期に開講したクラスでは、先日秋学期までに全ての過程を修了し、4名の方々が見事ゴールに到達されました。冬学期からは来年7月修了予定のクラスが新たに開講され、9名の方々が受講されております。先に進めば進むほど、以前学んだ文法項目が特に指示されることなく現れてきますので、それらがしっかり把握されているか復習しながら授業を進めるよう心掛けております。

 講読Aクラスでは、2019年2月以来読み続けてきたウェルギリウスの『農耕詩』全4歌を読了するという節目を迎えました。このクラスを前任の前川先生から引き継いで以来、ウェルギリウスの『牧歌』やホラーティウスの『書簡詩』、『諷刺詩』を読み進めてきましたが、受講生Cacさんは長年に渡り毎回丹念な予習を欠かさず参加下さいました。深くお礼申し上げます。現在はCavさんTaさんお二方と共に、南江堂刊『ラテン語読本』を教材として、主に第III部収録のカエサル等古典テクストの講読に取り組んでおります。

 講読Bクラスでは、秋学期からキケローの『老年について』を冒頭から読み進めております。受講生は現在Mさんお一方で、これまでに24節の、喜劇詩人スターティウスによる詩行「次世代の為に木を植える農夫」の辺りまで進みました。

 この作品では、我々もつい当然のこととして老年特有の欠点や短所と捉えてしまう諸々の事例が、実は個々人それぞれの性格に由来するものか、あるいはあらゆる世代の人々に該当するものであると、7、25、65、68節など随処で繰り返し述べられています。人生のあらゆる負の側面は、年代を問わず全ての人間にいつでも起こりうるという厳然とした事実に改めて気付かされると共に、これらの言葉は、今を大切に、善く生きる様我々に自覚を促すキケローのメッセージになっているのかも知れません。