『トムは真夜中の庭で』を読む(西洋の児童文学を読むB、2021/11/26)

福西です。

『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス、高杉一郎訳、岩波書店)を読んでいます。

「14 辞典を調べる」を読みました。

トムはハティと言い争いをした後も、やっぱりハティは幽霊ではないかと思います。

そこで、ハティが言っていた「女王」をヒントに、イギリスの歴史を調べます。イギリスで女王が統治していた時代で可能性を絞り込み、ハティの服装から、ビクトリア朝の初期ではないかと見当を付けます。

しかしトムは、じつは間違った推論をしています。

「ハティが幽霊である」ことを証明するために、「ハティが幽霊である」という条件を使っているからです。つまり、ハティに幽霊であってほしいために、ハティのいた時代は「現在から百年以上はなれていなければならない」と彼は思い込んだのでした。

トムはグウェンおばさんにも助言を求めますが、おばさんは、ハティの服装は現在でも普通の服装だと言います。しかし都合の悪い情報として、トムはこれを無視します。

「ハティがビクトリア朝の後期の人物で、現在もまだ高齢で生きている」という可能性を、トムは見落としたのでした。