『トムは真夜中の庭で』を読む(西洋の児童文学を読むB、2021/9/17)(その2)

福西です。

(その1)の続きです。

Hさんが、3章と4章に、シンメトリカルな構造があることを示してくれました。

3章「月の光のなかで」  4章「日の光のなかで」

月の光        ←→  日の光

庭園         ←→  空地

幽霊(?)と出会う  ←→  生の人間と出会う

昨日(朝?)の計画  ←→  今日(夜)の計画

気づいただけでも、4つの「逆」が存在。

ぜひまた見つけて教えて下さい。

Hさんのように、プロットの構造を掴むことは、より深く味わうための手掛かりです。

 

一方、私が注目したのは、以下の箇所です。

文字盤の上の方に半円形のアーチがあって、その上に人間によく似てはいるが、そのすごくひろくて大きな翼が二つ生えている生きものが立っていた。その胴体には、なにか白いものが巻きつけてあった。顔は黄金いろの円形で、おなじく黄金いろの足を文字盤の両がわに踏んばっていた。片足は草地の上に立っているようだが、もう一方の足は海のなかにつっこんでいた。

─『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス、高杉一郎訳、岩波少年文庫)p59

作品の後半で、トムたちが「ヨハネの黙示録」を読む箇所があります。そこと関連して、クラスでも以下の表現を紹介しました。

わたしは、語りかける声の主を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見え、 燭台の中央には、人の子のような方がおり、足まで届く衣を着て、胸には金の帯を締めておられた。 その頭、その髪の毛は、白い羊毛に似て、雪のように白く、目はまるで燃え盛る炎、 足は炉で精錬されたしんちゅうのように輝き、声は大水のとどろきのようであった。右の手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出て、顔は強く照り輝く太陽のようであった。

─『ヨハネの黙示録』1.12-16(新共同訳)

そのあと、5章「露のなかの足あと」を読みました。

要約などを、また来週に発表してもらいます。