『はらぺこオオカミがんばる』を読む(ことば3~4年2021/6/8)

福西です。

『はらぺこオオカミがんばる』(ストー、掛川恭子訳、岩波書店)を読んでいます。

第2章は、「まる見えオオカミ」でした。

魔女の所で「透明になる方法」を教わり、すっかりその気になったオオカミは、衆目ではずかしいことをたくさんやらかします。

見るに見かねて、ポリーが声をかけます。

「おどかすなよ。」

オオカミは、ポリーにもきこえるくらい、歯をカチカチいわせながら、あわれっぽい声をだしました。

ポリーは、オオカミの姿がすっかり見えていることを、オオカミに自分の足を注視させることで証明します。

見えないオオカミになったのなら、自分にも見えないはずよね、と。

オオカミは、足もとを見おろしました。

「あれ、だれか、すごくきたない足の先を二つ、わすれてったぞ。」

ここで、受講生たちの笑いがこみ上げました。

オオカミは、「見えないオオカミ」になっている間、どんなことをしでかしたのか、時系列をさかのぼって、一つ一つ、ポリーに告白します。とくに長くて面白かったのが、オオカミが「汽車ポッポごっこ」をする話でした。

話し終わってから、オオカミはポリーに疑問をぶつけます。「どなたさまも、おのりかえねがいまーす」と叫んだ時、どうして周囲の人がこちらを見なかったのか、と。

ポリーは教えます。「それは、じろじろ見たら失礼だし、変な人と関わり合いになりたくなかっただけよ」と。

オオカミはすっかり赤くなり、またもやポリーを食べずに逃げ出したのでした。

回想シーンで笑いを取るという、新しい描写方法のお話でした。