ことば2年(2021/6/23,30)

福西です。

クマのプーさんえほん(ミルン、石井桃子訳、岩波書店)の、『13 ウサギまいごになる』を読みました。

『クマのプーさん』に出てくるウサギは、保守的です。以前、カンガとルーが百町森に越してきたときも、追い出そうと計画しました。

今回もそれに似ています。

トラーのはねっかえりを直そうと、お灸を据える計画を立てます。

・トラーをノースポール(と名付けた丘)に連れて行き、置きざりにする。

・次の日、見つけ出してやる。

そうすれば、

「おとなしいトラーになるからさ。かなしくって、さびしくって、小さくて、すまながるトラーになって、ああ、ウサギさん、どんなに会いたかったか、というようなトラーになるからさ」

と、ウサギは言います。プーとコブタは、その計画に、わけが分からないまま、付き合わされます。

しかしノースポールに行く途中、濃い霧が出ます。

ウサギは、プーとコブタに大見得を切り、一人で行動した挙句に、迷子になります。

一方、置き去りにされたトラーは、何事もなく自力で帰ることができます。しかも、そのあとで、ウサギを探しに来てくれます。

オチは次の通りです。

「ひじょうに小さい、みじめな」ウサギが、その声めがけて、霧を突いてとんでいくと、声は、とつぜん、トラーにかわりました。しんせつで、えらくて、大きくって、役にたち、そして、もしかりに、はねっかえるとしても、トラーというものが、そうあるべきように、美しくはねっかえるところのトラーに……

「ああ、トラー君、どんなに君に会いたかったか。」と、ウサギはさけびました。

2週かけて読みましたが、おもしろい箇所ではそのつど立ち止まり、機微を味わいました。

今までで一番カタルシスがあったかもしれません。