『ことば1・2年』(クラスだより2007.3)

山びこ通信2007年3月号より転載します。

「ことば」1・2年生   担当 山下太郎

冬学期に入り、両クラスとも、3つのポイントに沿って勉強を進めてきました。1つめは、幼稚園時代に取り組んだ俳句や劇の脚本をひたすら「音読」すること(毎回これらの文字を記したプリントを配布します)。一度覚えた俳句や、一度演じたことのある脚本に文字を通じて再会するのは、大きな喜びのようです。2つめは、ひらがなだけで記されたこれらの俳句や脚本について、可能な限り、ひらがなを「漢字に直す」こと。3つめが、できるだけたくさんの俳句を「暗唱」することです。

まず1つめの「音読」についてふれますと、俳句や脚本は子どもたちにとってなじみのある内容ですが、ぶっつけ本番でスラスラ音読できるほど簡単なものではありません。素読のように耳で聞いた音声を反復することと、書かれた文字を「朗読」することは同じではなく、どのような内容の文であれ、声に出してきちんと音読するには、たいへんレベルの高い「ことば」の能力を必要とします。実際、この力が身に付くと、科目を問わず、教科書を目で「読む」ことが楽しくなります。つまり、文章の音読はすべての教科の基礎として、子どもたちの学力を支える根本の力になっています。

2つめの「漢字に直す」作業とは、文字通りひらがなを漢字に直す練習です。基本的なドリルは学校と家庭でできていますので、山の学校の勉強は、日頃の学習成果を試す応用練習という位置づけです。教材は、プリントで紹介するひらがなばかりの「脚本」と「俳句」です。子どもたちはじつに楽しんでこの作業に取り組んでいます。1年生は無理せずゆっくりと進めています。2年生はときにチームに分かれ、点数を競いながらがんばっています(男の子ばかりという事情もあります)。互いに相談したり教えあったりしながら、ときには漢字辞典や国語辞典も調べながら、どんどんひらがなを漢字に直していきます。配布したプリントが、みるみるうちに漢字の書き込みで真っ黒になるのを見るのは私の大きな喜びです。

3つめの「暗唱」は、今のところ俳句に限定しています。昨年の4月以降、毎月少しずつ俳句を紹介し、その都度「暗唱」してもらってきました(全部で15)。いよいよ学年末の近づいた3月のクラスで、私はこれら15の俳句の一覧をコピーして手渡し、「今から一人ずつ当てるので、覚えられただけ発表してください」と言いました。一人ずつ起立して、1番目の俳句から順に、2番目、3番目・・・と発表していきます。ギブアップした時点で次の人と交代します。作者名も正確に言えなければダメというルールです(「一茶」と「芭蕉」を間違えてもアウト)。多い、少ないの違いはありましたが、どの生徒も自分の順番がまわってくるまで、必死で暗記し、徐々に発表できる数を増やしていきました(1時間で5~10は覚えます)。その集中力たるや、すごいものです。

「ことば」の低学年クラスでは、何より「ことばを学ぶこと」に対する自信と興味を育てることを大切にしています。