「フジっち」の思い出(2021/04/29)

事務担当の梁川です。

個人的な話になってしまいますが、中学生時代のある昼休みの風景が、ふと思い出されることがあります。
みんなが外遊びに夢中になっている、誰も居なくなった教室で、ひとり机に向かっていたF君の姿です。
大人しく、ひょろっとして、目立つタイプではなかったですが、黒縁メガネをかけていて、笑顔の素敵な印象の彼は、「フジっち」の愛称で皆に親しまれていました。
ぽつんと一人で座っているフジっちの背中を見つけ、近づいていくと、机に「世界地図帳」を広げて、ただじっと眺めています。
「何しているの?」と訊ねてみると、フジっちは、
「こうやっていると、世界を旅しているような気分になれるんだよね」と目を輝かせて微笑みました。
「ふうん・・・そうなんだ」とこたえながら、そのときの私には、正直ちっともその面白さがピンとこなかったことと、「彼には一体何が見えているのだろう」という不思議さ、また、そのことを楽しく思える「羨ましさ」のようなものを、同時に感じたことを覚えています。
大人になって振り返ると、あのときにもっと彼に突っ込んで質問をしたり、色々な話をしていれば、もっと社会科で苦しまなくて済んだかもしれない、とさえ思います。私にとっては当時、面白さが分からず、苦痛でしかなかった科目だったからです。
ですから、もし苦手な科目をどうにか好きになりたい、克服したい、と思っている人がいたなら、その科目を得意な人、好きな人に、「いつから好きなの?」「どこが面白いの?」「いつもどうやって勉強しているの?」「どんな本が好きなの?」など、とことんインタビューしてみるのも、有効な手立てなのではないかと思います。
皆さんは、いかが思われるでしょうか。苦手科目克服の経験談など、色々な人から聞いてみたいです。
フジっち、どうしているのかなぁ・・・。