山びこ通信2020年度号(2021年3月発行)より下記の記事を転載致します。

『かず5~6年』A

担当 福西亮馬

 このクラスでは、パズルの時間と、算数の本を読む時間を設けています。中学生になると、内容の比重が計算から論理に移ります。それを意識して取り組みました。

 本は教養的、啓蒙的な内容です。今年度は、『図形』(下)(小和田正、さえら書房)を読了しました。3角形の合同の証明や、相似、3平方の定理について学びました。

 つぎに、『形と曲面のひみつ』(瀬山士郎、さえら書房)を読みました。内容はこれまでの平面幾何とはうってかわって、トポロジーという新しい幾何学です。トポロジーは、端的に言えば、「距離」をまだ導入していない世界、集合の要素が「つながっている」か「つながっていない」か、その原初的な関係性だけを見る世界です。「近い/遠い」という概念がないのです。そうすると、曲面をねんどのようにぐにゃりと曲げても、もとの形と同一視されます。そのような幾何学では、ふつうの計算ではなく、面を切ったりつないだり、のばしたりすることが手立てとなります。そして、変形に左右されない性質(不変量)とは何かを、テキストを通じて考えました。すると、球の表面、ドーナツの表面(トーラス)、2つ穴のドーナツの表面など、曲面はその「穴の数」(これが不変量です)によって分類されることを知りました。

 また、「クラインの壺」とよばれるものを3次元的に作って、切るとどうなるかを実験しました。すると2つの「メビウスの帯」とよばれるものになりました。逆に言えば、2つのメビウスの帯を貼り合わせたものが、クラインの壺なのです。「ぜんぜん形がちがうのに、意外」と、受講生も驚いていました。

 『図形』で平面幾何の内容を俯瞰したことが中学の学習の助けとなることを、また『形と曲面のひみつ』で読んだことが好奇心の支えとなることを願っています。

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