福西です。

その1はこちら)

クローディアはこの天使像の「秘密」を解こうと決心し、もとの持ち主のことを突きとめます。そして美術館を出て、ニューヨークからコネティカットにある屋敷を訪れます。

こうして、天使像のもとの所有者フランクワイラー夫人は、二人の珍客を迎えることになります。夫人は、「天使像がミケランジェロの作かどうか」という熱心な問いに、「それはわたしの秘密よ」と言って、すぐには教えてくれません。一方、クローディアたちも負けてはいませんでした。

「この一週間、あんたたちはどこにいたの?」
「それはあたしたちの秘密です。」
クローディアはあごをあげていいました。

と、やり返したのでした。ここではじめて、クローディアとフランクワイラー夫人は、お互いが「のっぴきならない秘密」を抱えていることを知ります。

夫人は、クローディアが、美術館での冒険や興奮を自分の外にあふれ出させることなく、そっとしまい込める点で、彼女が「幸せである」ことを見てとります。だからこそ、クローディアの秘密と、自分の秘密とを交換するという「商談」を成立させます。

秘密というものは、それを持つだけで、その人を内側から支え、前とは違った人物に変える力を持っているというのがこの作品のメッセージです。こうして「天使像」という秘密を抱くことができたクローディアは、外面を飾る必要も、女英雄の凱旋も必要なくなります。

「もしここにある綴じ込みがみんな秘密で、それに秘密ってものが人の内側をかえるもんだとすると、フランクワイラーおばさん、おばさんの心の中って、おそろしくごちゃごちゃで、みたこともないほどかわったもんだろうね。」

と、クライマックスのシーンで、ジェイミーは感嘆します。ジェイミーはなにより「ふくざつ」なことが好きなのでした。そしてこの作品の原題には、このフランクワイラー夫人の綴じ込み場所を探すシーンから、mixed-up(ごちゃごちゃの)という言葉を持ってきています。

天使は、そうしたフランクワイラー夫人の秘密の “mixed-up field” に、羽根を休める場所を得たのでした。そう、わきたつ感情が落ち着き場所を得ること、それが幸福だという、彼女の信念とともに。

 

Hinemos amo! 2010-05-01の記事より(福西のブログ(現在closed))

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