ことば5~6年(『冒険者たち』を読む)

福西です。

『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(斎藤淳夫、岩波文庫)、第三部「イタチとの戦い」を読んでいます。

いよいよ物語も佳境です。

イタチのリーダーであるノロイは、第一部、第二部では、回想シーンに登場するだけでした。それが第三部になってとうとう姿を現しました。ノロイの統率力は恐ろしいほどで、ネズミのリーダーであるガンバも圧倒されそうになります。

ノロイは、小さな岩山にたてこもるネズミたちに、降伏ではなく、講和を求めます。戦友たちに礼を尽くしたいと言って。最初は言葉。次に歌。そして踊り。食料。

ガンバは一貫して抵抗しますが、疑心暗鬼にかられたネズミの一部が、ガンバを非難し始めます。ノロイの贈り物は、真実なのでしょうか。それとも、戦いたくないという心につけこむ誘惑なのでしょうか。

戦うことの是非をめぐって、最後までハラハラさせられます。

 

受講生のR君のこれまでの要約です。

『冒険者たち』(斉藤淳夫、岩波書店)

要約 T.Reiya

第一章

1‐1
 ドブネズミのガンバは、台所の床下の貯蔵穴に住んでいました。しかし、これといった思い出はありませんでした。そんな時、仲間のマンプクがやって来ました。ガンバに海に行かないかとさそいます。というのも、ある隠居した冒険家のネズミに、年に一度の港での集まりについて教えてもらったからです。でもガンバは行こうとしなかったので、マンプクは怒り、一人で行くと言いました。するとガンバはしかたなく行きました。

1‐2
 ガンバとマンプクは港につきました。集まりの会場の上屋を探しますが、よく分からず、雷におびえていると、ガクシャというネズミに会いました。ガンバとマンプクは、上屋に行けると思い、ガクシャについていきます。その上屋には、たくさんのネズミがいて、ヨイショやイダテンというネズミとも知り合い、楽しく過ごしました。満足したガンバ達は、帰ることにしました。

1‐3
 ところが、ガンバ達が帰ろうとした時、シジンというネズミが現れ、支離滅裂としたことを口走り、皆をおしとどめました。その時、忠太と呼ばれたボロボロのネズミが現れました。忠太は、イタチのノロイ一族が、自分達を襲っていると言いました。そのとたん、ヨイショは固まりました。ガンバは、忠太を助けようと呼びかけましたが、ヨイショが止めました。が、ガンバは、忠太と、ノロイのいる島に向かいました。

1‐4
 ガンバと忠太は、その島へ行く船に乗りこみました。ガンバが眠った時、ヨイショが現れ、続けてガクシャも現れました。次々に、イダテン、イカサマ、ボーボ、バレット、バス、テノール、ジャンプ、アナホリ、マンプク、シジンが出てきました。最後に記憶のない老ネズミが出てきました。オイボレという名になりました。
 十六人のネズミは、ノロイの島へ向かうのでした。

1‐5
 ガンバは甲板に上がると、海を見ました。ガンバは、水平線を見つめながら、ボーッとしていました。ガンバは急に飛び上がると、色んな角度で広がる海を見ながら、「これも海か!」と聞き、「ああ、これも海だ」とヨイショは答えました。ガンバはすっかり海に感動し、ヨイショは海のみ力を語りましたが、ガンバは黙ってくれと言いました。

1‐6
 忠太は、ガクシャに聞かれ、島でのいきさつをすべて話しました。それというのは、初めネズミがたくさんいたのに、ノロイのイタチ達に、必ず見つかるので、忠太達は隠れ場所から逃げ出し、何とかやって来たというものでした。忠太は地図をかき、ガクシャとイカサマがけんかをしたので、投票でリーダーを決めることにしました。そこでガンバがリーダになり、議論をしましたが、上手くいかず、解散しました。そんな時、マンプクはイカサマに、サイコロで占いが出来るか聞き、乗せられたイカサマがサイコロをふると、不吉な数が出ました。

第二章

2‐1
 ガンバ達は、島に上陸するためにオレンジの段ボール箱に入りました。そうしてどこかの家にたどりつきました。イダテンは先頭を走っていき、そのあとからネズミ達がついていきました。しかしマンプク、ボーボ、オイボレがおそいのでイライラしていました。そんな時、馬と荷馬車を見つけ、これに乗っていくことにしました。

2‐2
 イダテンとガンバは協力し、馬を操作しました。他のネズミは荷馬車の干し草の上で見張りをしました。すると荷馬車と馬の持ち主の人間が追ってきました。しかし捕まりそうになった時、下り坂になり、荷馬車は猛スピードで走りました。そうして崖に落ちそうになりましたが、馬が右を向いたのでガンバ達は助かり、荷馬車のネズミも、下の砂浜に落ちて助かりました。

2‐3
 皆は砂浜に落ちたため、助かりました。しかし、オイボレが見あたらず、探します。岩の間にいたオイボレを見つけると、皆が非難しましたが、自分達の間ちがいにむしろ気付きました。
 ネズミ達は海岸を、山が見えるまで歩きました。ところが道は険しく、引きかえそうとしますが、忠太の逃げて来た道だと知ったので、なんとか渡ります。そして海岸の穴で眠りました。

2‐4
 穴の中のネズミ達は、お腹が空いた為、外に出ました。とたんに、何者かに放り投げられ、ネズミ達は一か所に集められました。そしてどこからか、不気味な声が聞こえてきました。ネズミ達は怯えましたが、ガンバがどなると、相手がガンバ達をイタチだと思っていたことが分かりました。そして、かんちがいしていたことに気付き、不気味な声の正体であるオオミズナギドリが姿を現しました。そして、イタチに自分たちの家族を殺されたため、復讐するということを、オオミズナギドリのまとめ役、ツブリが言いました。それからネズミ達は、オオミズナギドリの巣に入り、ゆっくり休みました。

2‐5
 ガンバ達はオオミズナギドリの案内で、高倉のある平野までたどりつきました。その時、一匹のネズミが高倉から出て来たのに気付き、ガンバ達は中にむかえられました。高倉には、忠太の仲間がいました。そこでガンバ達は眠りましたが、高倉のネズミがガンバ達を外へ出そうとしないのに気付き、逃げるための穴をカリックにあけさせました。翌日、協力しようとしない高倉ネズミと言い争いましたが、ガンバ達は負けたふりをして、こっそり高倉から出ていきました。

2‐6
 高倉から逃げて来たガンバ達は、北の山に登りました。そうして、忠太の住んでいた穴が見つかりました。しかし、中には誰もいませんでした。入口にイタチの毛があったので、イタチに殺されてしまったのだろうとネズミ達は考えました。島に残るかガンバは考えましたが、あと一日残ると言いました。その日の夜、イタチか何かが近づく気配がしました。ところがそれは忠太の姉の潮路で、無事再会できました。

2‐7
 潮路によると、この山に逃げたネズミは全員生きており、山の反対側にある割れ目に隠れていました。ガンバ達は案内してくれと潮路に頼みました。その時、高倉ネズミ達がガンバ達に助けを求めました。イタチに居場所がばれたため、夜に逃げてきたのです。そうして逃げている時も、仲間は少しずつイタチにやられていたのです。ガンバ達はすぐに潮路の案内で割れ目に向かいました。

2‐8
 潮路に連れられてガンバ達は北の斜面をくだっていきました。しかし、イタチ達に見られているのは分かっていたので、岩の上にあがって先へ進みました。そうしてネズミ達は海岸に着きました。沖にある一番大きい岩に向かうと、岩の中に入りました。岩の中には忠太の家族もいて、皆で協力しながらイタチとの戦いに備えました。

2‐9
 ネズミ達は岩山の中で交替しながら見張りをしました。しかし、イタチはなかなか現れません。そのうち岩山のネズミ達はピリピリしてきました。そしてささいなことをきっかけに、高倉ネズミとイカサマはけんかを始めてしまいました。そこで高倉ネズミの七郎がガンバに替わってリーダーになりました。とたんに七郎はガンバ達を追い出そうとしましたが、イタチがやって来ました。

第三章

3‐1
 夜、イタチ達六十七匹は海岸に並んでいました。しかし、イタチはネズミ達に攻撃せず、戦いをやめようと持ちかけました。ネズミ達は、すっかりイタチのノロイの対応に魅了されそうになりました。さらに、イタチはたくさんの食べ物を用意しました。岩穴の高倉ネズミはすぐにでも海岸へ行こうとしましたが、潮路が大声でネズミ達にノロイの所へ行かないよう呼びかけたので、ノロイは次の夜にまた来ると言って去りました。

3‐2
 朝、ネズミ達は海で泳ぎました。その夜、ノロイ率いるイタチ達は約束どおり海岸に現れました。そしてノロイは歌を歌うと、周りのイタチ達はそれに続いて美しく歌いました。ネズミ達はこの合唱にすっかり魅了され、イタチに近づいていきました。ところが、シジンが別の詩を読み上げ、それをバスとテノールが歌うことで、ネズミ達は魅了から覚め、一方イタチ達の合唱の調子は崩れていきました。そして、イタチ達は去っていきました。

3‐3
 海岸と岩山の間の岩は干潮でほとんど出てきました。その夜、イタチ達は踊りを使ってネズミ達を魅了すると、たちまちネズミ達は海岸へと行き始めました。バレットも踊り、一時的にネズミ達を止められましたが、やはりイタチに負けてしまいました。そこで忠太の父親が島の歌を歌い、それを聞いたネズミが躍り出すことで、ネズミ達は我に返り、岩山へ引き上げ、イタチも去りました。
 次の日、ガクシャは島の歌に隠された意味を見つけると、脱出方法を考え出します。しかし、岩山の食料と水が底をついたのと同時に、イタチは海岸に食料を用意しました。