福西です。

「西洋の児童文学を読むA」(小学5~6年)で、秋学期から読むテキストをお伝えします。

『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)

胸に迫る印象的なシーンがたくさんあります。前回読んだ『はてしない物語』とも一味違う角度からの心理描写には、受講生たちも「その気持ち、わかる、わかる!」となってくれるのではないかと思います。

突然孤児となったセーラのまわりには、残念なことに、自身にも子ども時代があったことを忘れ、想像力を失った大人たちがいます。彼らが何を考えているのか、その卑しさの隠匿は、セーラには筒抜けです。日々、心無い人々から受ける偉そうな仕打ちに、くじけないよう、セーラはどんなアイデアを自ら考え出し、どんな精神の規範を持っていたのでしょうか。それは、何度読んでも味わい深いものがあります。

中には、題名から少女趣味に思えて敬遠される方がいるかもしれません。でも、それでは損です。物語の最後のどんでん返しは、シンデレラストーリーというよりはむしろ、忠臣蔵です。老若男女、この上なく胸のすくお話です。ぜひお楽しみに!

 

【追伸】

『小公女』には、いくつも翻訳が出ているので、どれをテキストにしようか迷いますが、小学生にとって、読みやすさと格調とのバランスの取れた完訳は、現時点ではこれが最良のものだと思います。なお、18章” I Tried Not to Be” (anything else)の訳が、「ほかのものにはならないようにしていたんです」とあり、この作品の題名がなぜ『小公女』(A Little Princess)なのかという謎に大きくうなずける点で、福音館書店版にしました。

セーラは生まれつきの小公女なのではなくて、そうなろうと努めたから、それ以外にはならないようにしようとしたから、小公女なのだという、作品のメッセージには、読後も励まされます。

(大人が読む場合には、新潮文庫の畔柳和代訳がですます調ではない分、主人公の芯の強さがより鮮明で、おすすめです。ただ、小学生クラスには字が小さすぎるため、上記のものを選びました)

 

 

 

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