山びこ通信2019年度号(2020年3月発行)より下記の記事を転載致します。

『ドイツ語(初級・講読)』

担当 吉川弘晃

 ドイツ語クラスは初級と講読の二つが開講されています。前者は、初めてドイツ語に触れる方、もしくは、文法を最初から復習したい方のための、そして後者は、基礎文法は既に身につけていて文章読解に取り組みたい方のためのクラスです。テキストは文法の教科書から報道記事、学術論文、旅行記まで多種多少なものを扱ってきました。いずれにおいても重視しているのは、まず紙上の一語一語を正しく捉え、次に一文一文を順々に追っていき、その上で文章全体が伝えるものを理解する方法を身につけることです。

今回は講読クラスでの新しい取り組みについて二つお知らせしましょう。一つ目に重視していることは、教科書に付属した音声教材の活用です。生徒さんのご要望により今年度は、ドイツの原子力問題と反原発運動をテーマにした教科書(大川勇/稲葉瑛志/齋藤治之/ディーター・トラウデン著『原発のない暮らし―ドイツの選択Es geht auch ohne Atomkraft!』郁文堂、2018年)を用いております。本書は各課には対話文と論説文が一つずつ収められ、それぞれを朗読した音声は付属CDに吹き込まれています。授業ではまず最初に、教科書の本文を見ず、頁の下に書かれたキーワードだけを確認してもらった上で、CDを聞きます。次に本文全体を読解していき、どの点が聞き取れていなかったかを確認した上で、シャドーウィングを何度か行い、最終的には音声を聞いて頭の中でドイツ語の原文が再現できるようになるのが理想です。

次に重視しているのは、語彙の学習です。CDを聞いた後、教科書の本文を音読して、その解釈を行いますが、一文一文をドイツ語から日本語に訳す作業については論説文の方で済ませ、対話文ではあまりその作業を重視しません。そこではむしろ、登場する表現で重要なものを取り上げて、そのコロケーションや関連する語彙とまとめて学習する方法を取ります。例えば、Der Roman ist im Jahr 1968 erschienen.(その長編小説は1968年に出版されました)という文が出てきたら、まずはerschienenの文中での働き(動詞erscheinen「出版される」の過去分詞。この動詞は自動詞なので「sein +過去分詞」で作る現在完了)を、該当する動詞が不規則変化を取る場合はその三基本形(erscheinen-erschien-erschienen)を答えてもらいます。三基本形については油断せず、その都度、確認していきましょう。次に、erscheinenの類義語をノートに書き出していきます。ざっと思いつくのはveröffentlichenとpublizieren(或いはauf-legen。注:分離動詞は間に「-」を入れて表記しています)あたりでしょうか。ここで注意するのは、これらの類義語の共通点と相違点です。(本に限らず何かを)「公にする」という意味合いを帯びている点では以上三つの動詞は同じように使えますが、erscheinenだけは自動詞、それ以外は他動詞であるという違いに注意せねばなりません。ではもっと幅を広げて「出版」に関する語彙を見ていくと、der Verlag「出版社」、die Auflage「版」、heraus-geben「〜を編集する」などなど…。こうやって集めた単語からBei welchem Verlag ist dieses Buch erschienen?(どの出版社からその本は出たの?)といった作文も可能です。一つのテーマで集めた語彙der Wortschatzはドイツ語・ネイティヴとの会話や通信で実際に使ってみて反応をうかがうのも面白いでしょう。

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