『現代ギリシャ語』クラス便り(2020年3月)

山びこ通信2019年度号(2020年3月発行)より下記の記事を転載致します。

『現代ギリシャ語』

担当 福田 耕佑

 昨年、現代ギリシャ語の授業が開講しました! ギリシャ文字の書き方と発音から始めて、これまでで基本的な日常の表現や、ギリシャ語の中で最も基本となるω動詞の現在形活用まで学びました。It’s Greek to meとはよく言ったもので、ギリシャ語の文法は一筋縄では身に付きません。この授業では復習を大切にしており、ゆっくりではあっても省略することなく文法事項を解説し、毎回の確認問題を通してしっかり定着するまで反復しています。

現代の日本語と平安時代の日本語が異なるように、現代のギリシャ語と古代のギリシャ語にはもちろん差異があります。とはいってもギリシャ語はギリシャ語であって、古典ギリシャ語は今でも会話や文章の中で私たちの舌と指を通して日常の中に生き続けています。このような古典ギリシャ語と現代ギリシャ語の繋がりを感じてもらうために、この授業は現代ギリシャ語の授業ではありますが、古典語と現代語の比較や街角で見られる古典ギリシャ語の表現なども積極的に紹介しています。文法の学習が終われば、現代ギリシャ語クラスでも古典「現代ギリシャ文学」の作品を読んでいきたいと考えています。

この授業は講師の福田が現在留学しているテッサロニキからSkypeを用いて行われています。生の授業とは違う難しさもありますが、ギリシャから日本にギリシャ語を届けられるという不思議な機会をいただいております。ひょっとすると、Skypeを通してギリシャ人が現れるかもしれません。この授業を通して古代から現代まで続くギリシャ語の魅力と、豊饒なギリシャ文学や哲学の魅力をみなさまと共有できれば私にとって望外の喜びです。

1~3 テッサロニキの風景(福田撮影)。 1 アリストテレス広場(アリストテレスの活用が古典語風)。
2 アリストテレス像(発音はアリストテリス)。 3 凱旋門。 4 ギリシアにおける出版記念講演会、登壇の様子。書籍(論集)名は『ニコス・カザンザキスと極東の眼差し(Ο Νίκος Καζαντζάκης απω-ανατολική ματιά)』