『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)、「19 旅の一行」の前半を読みました。

バスチアンは、アッハライをシュラムッフェンに変えたことで、憂鬱になります。そこでアトレーユの提案で、フッフールに乗って憂さを晴らします。

バスチアンは、元の世界ではよく人から馬鹿にされていました。その記憶をバスチアンが失ったことを、アトレーユとフッフールは確めます。フッフールは忠告します。

「どうか今後はアウリンがあなたに与える力を使わないでいただきたい。」

バスチアン一行の旅の目的は、「バスチアンの帰り道を探すこと」でした。しかしバスチアンは「ほんとうは、元の世界に帰りたくない」と告白します。帰り道がいつまでたっても見つからないわけでした。これは、千の扉の寺院での現象と同じです。あの時は、バスチアンが「アトレーユに会いたい」と思ったとたん、寺院の出口が見つかりました。

バスチアンは「帰らなければならない」と忠告されて、嫌な気分になります。「君たちは、ぼくがファンタージエンから早くいなくなってほしいと思っているんだろう?」と。しかし邪推されたアトレーユは悲しみます。一言、「友達だちだと思っていたのに」と。驚いたバスチアンは謝り、忠告を受け入れます。

ところが、旅を続けると、今度はそれ以上進むことができなくなってしまいました。ある森で、何度も同じところに戻ってきてしまうのです。

この時のバスチアンは友の忠告で「わかった。じゃあ、元の世界に帰ろう」と思ったわけではなかったのです。帰りたくないことと、かつアウリンの行使を抑圧されたことで、無意識に何も望まなくなってしまったのでした。

状況が悪化したことを、バスチアンは自分のせいではなくて、「アトレーユの忠告に従ったらそうなった」と思ってしまいます。

そこで、らばのイハが、「これまではずっとエルフェンバイン塔を目指していた」ことをバスチアンに教えます。

すると、次の「望み」が生じます。

「ほくは決心した。どうすればいいか教えてくれることのできるたった一人の人を訪ねようと思う。それは、幼ごころの君だ。今日からぼくたちの旅の目的地は、エルフェンバイン塔だ。」

しかしこれにアトレーユたちは強く反対します。またもやバスチアンは葛藤します。きっとバスチアンはこう思ったことでしょう。「望まなければ旅は続けられず、望めば反対される。じゃあ、どうすればいいんだ?」と。

「アウリンを使うな」という忠告は、バスチアンにとっては(このファンタージエンで)「何も望むな」ということを意味します。しかし「真の望み」がエルフェンバイン塔を目指すことではないこともまた、友の言う通りなのでした。

さて、このあとはどうなるのでしょうか?

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