「はてしない物語」を読む(2020/1/9)

福西です。本年もよろしくお願いいたします。

『はてしない物語』(エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)を読んでいます。

「15 銀の都アマルガント」の前半を音読しました。

バスチアンが「色の砂漠」の次に足を踏み入れたのは、「千の扉の寺院」でした。そこの描写が独特で、受講生たちの興味をそそりました。

そこは、蜂の巣状に六角形の部屋が無数につながっており、各部屋ごとに扉が二つ(入ってきた扉を合わせると三つ)あります。最初、バスチアンは思い思いに扉を開けていくのですが、一向に外に出る気配がありません。

途中で、「会いたい者」をイメージしなければいけないというヒントを得ます。バスチアンの脳裏に浮かんだのは、アトレーユでした。すると寺院の扉はたちまちアトレーユについての二択クイズに変わります。それに連続で正解すると、外に出ることができました。後ろを振り返ると、すでに六角形の部屋はなく、どこかの廃墟でした。そして前に広がるのは、明るい森でした。

森で、若い勇士ヒンレックとその一行に出会います。なんでも、銀の都アマルガントで競技大会が開かれるので、参加するのだと言います。競技大会の目的は、ファンタージエンの救い主を探す旅のメンバーを選抜すること。その後、救い主の警護にあたるのだと。救い主とは、幼な心の君に名前を付けた者、すなわちバスチアンのことでした。けれどもバスチアンはまだ正体をひた隠しにしています。その彼が一番驚いたこと。それは、アマルガントにはアトレーユがいるということでした。千の扉の寺院で願った通りの出来事でした!

受講生たちから、爽やかな驚きの声が上がりました。「これって、もしかして!」「わあ、やっぱり!」と。そのような胸のすく思いができたことに、私もよかった、となりました。