『将棋教室』クラス便り(2019年2月)

「山びこ通信」2018年度号より下記の記事を転載致します。

『将棋教室』

担当 中谷 勇哉

現在6名で、毎回1人3対局を目安にやっております。最初の1局は生徒同士で行い、2・3局目は私が駒落ちの二面指しを行っています。

大人との対局は気合が入るようで、いつもより集中して指してくれて凡ミスはなくなります。普段集中が切れたときに駒をタダで取られてしまう子も、読みを入れ、慎重に指してくれます。

ただ、将棋では慎重に指しすぎるのも考え物で、こちら側に受け手がなくなり、仕方なしに攻撃している手をすべて受けようとして逆転されてしまう場面もよくみられます。将棋は持ち駒がある程度あれば攻めは続くもので、全部対応しようとするとかえって攻め込まれる場合も多いのです。そういうときにものをいうのは冷静な判断力で、「この手を放置したら飛車が取られるけど、こちらが攻めたらもうすぐ詰むぞ」と考えることができれば、こちらのハッタリを無視して攻め、勝利することができるようになるはずです。「先生が指した手だ」とか「相手が攻めてきた」ではなく「この手は次に両取りを狙っている」といったように余計な情報を排除して考えることが肝心になるわけです。そのためには将棋の論理的な考え方をトレーニングする必要がありますので、今後の教室で重要視していこうと思います。

さて、将棋界では杉本昌隆七段と藤井聡太七段の順位戦師弟同時昇級が実現するのではないかと話題になっています。藤井七段の昇級は開幕前から当然有力視されていましたが、杉本七段は、(失礼ながら)全盛期を過ぎた棋士という印象で、50歳という年齢からみても昇級候補に全く挙がっていませんでした。しかし蓋を開けてみれば最終戦を残し8勝1敗で堂々の二位につけています。二位までが昇級ですので、最終戦に勝てば自力昇級なのですが、果たしてどうなるでしょうか。

杉本七段活躍の大きな要因が藤井七段という弟子の存在にあることは間違いないでしょう。将棋は頭脳競技であり、日頃の研究やトレーニングが重要になってきますが、それを続けるためにはモチベーションを維持することが必要になってきます。教室でも、生徒同士がライバルとして切磋琢磨できるような環境づくりができればと思います。