ギリシャ語講読(2010.2)

山びこ通信(2010.2)より講師のメッセージを転載します。

この授業ではホメーロスの『イーリアス』を読んでいます。秋学期で第1歌を読み終えたので、今学期は第2歌に進みました。A. R. Benner, Selections from Homer’s Iliad を用いて、一回に30行程度のゆっくりとしたペースで進めています。

今学期は教科書や文法書を読んでもなかなか理解できない文法事項を重点的に解説するようにしました。一例を挙げれば、未完了過去(半過去)とアオリスト(単純過去)の関係がそれです。明らかに過去の一回的行為であるにもかかわらず、アオリストではなく、未完了過去によって表される行為があります。なぜそのようなことが起きるのかを一々の動詞について解説するよう心掛けました。われわれ日本語人にとって古典ギリシア語の基本的文法カテゴリーを理解するのはなかなか大変なことなのですが、それを投げ出してしまっては原典で読む意味などなくなってしまいますので、じっくり感覚を養っていこうというのがこの授業の方針です。

この授業は来学期から金曜3限に移ります。受講者の希望もあり、しばらくの間『イーリアス』を読み続ける予定です。

(文責 広川直幸)