ギリシャ語入門(2009.6)

以下はやまびこ通信(2009.6)に掲載された講師からのメッセージです。

今年も春の訪れとともに山の学校で古典ギリシア語の授業が開講されました。今年度も昨年度同様、水谷智洋『古典ギリシア語初歩』を教科書とし、一回に一課のゆっくりとした速度で進めています。全36課の教科書を一年かけて終える予定です。

今年度も相変わらず変化表の練習に明け暮れています。理由は一つ。変化表を全て正確に体得しないと古典ギリシア語の習得は必ず失敗に終わるからです。多言語習得者として有名なシュリーマンは、学校で長い時間をかけて教えている所謂文法など一切学ばなかったと豪語するのですが、古典ギリシア語を学ぶにあたっては変化表を暗記したと記しています。授業時間の練習だけでは足りません。どうか一日15分でもよいので、変化表の暗記に時間を割いてください。そして、忘れるまで覚えてください。

次に大切なのは語彙の習得です。時間の都合で、授業中には実行できないのですが、作文が非常に役に立ちます。日本人は外国語での作文というとすぐに日本語で考えた抽象的な内容を無理やり外国語に置き換えようとしますが、ここで言う作文とはそういうことではありません。目に見え手で触れられるものを土台に短い文章を作る練習をしていただきたいのです。例えば、花を見たとする。そうしたら「花」とギリシア語で思ってみる。そしてその花について「この花はきれいだ」という具合に簡単な描写を試みる。このような作業を繰り返していると、訳読で得られるような貧弱なものではない、確固とした語彙の土台が出来上がります。是非このような練習をしていただきたいと思います。(文責 広川直幸)