福西です。

『王への手紙(下)』(トンケ・ドラフト、西村由美訳、岩波少年文庫)を読んでいます。前回と今回で、第8章の6「ダホナウト王」、7「白い盾の騎士」を読みました。

6「ダホナウト王」で、ウナーヴェン市からダホナウト市に帰還したティウリは、騎士になりたいことをダホナウト王に伝えます。すると王は質問します。「もう一度、礼拝堂で祈りの夜を過ごす機会を与えられたら、そしてふたたび声がして、助けを求められたら……そなたは、どうする?」と。それに対し、ティウリははっとなり、そして心静かに答えます。「同じことをするでしょう」と。ダホナウト王はうなずき、「結果がどうなるか知っていても、同じことをする。それならば、その結果を受け入れなければならないだろう」といって、ティウリを下がらせたのでした。

ティウリは、愛馬アルダンヴェンでひとっ走りし、次のように独白します。

「ぼくが騎士であるかないかは、どうでもいい。ぼくは、ティウリだ。いつだって、よいことをすることができる。

胸を打つシーンです。

次の騎士になる機会は、四年後を待たなくてはなりません。

さて、7「白い盾の騎士」で、現実を受け入れたティウリは、すでに騎士となった友人たちと道ですれ違っても、心を揺らさずにいます。

しかし、ダホナウト王の夕食会で、ティウリは騎士たちの座るテーブルに呼ばれます。ティウリは驚き、何かの手違いだと思いますが、王は次のように言います。

「すでに気づいているであろうが、若い騎士が一人、はじめて食卓につく……みなの中でいちばん若い。彼のことを、わたしは、とくに歓迎したい。ティウリ騎士、勇者ティウリの息子だ!」

ティウリは、驚いて王を見つめた。

ダホナウト王は、笑いはじめた。「見よ、彼がわたしを見つめているぞ!」

(中略)

「じつは、もうその必要はないのだ。そなたが助けを求めるその声に従わなかったとしたら、そなたはいま、騎士であったろう。だが、そなたはその声に従い、そなたの任務を遂げ、エトヴィネム騎士との誓いを果たした。それなのに、そなたは騎士ではないのだろうか? そなたは、騎士の叙任は受けなかった。だが、自分が騎士であることを示したのだ。ティウリ、そなたは自分で自分を騎士にしたのだ。

そういって、ダホナウト王はティウリの肩に剣を当て、正式に騎士に叙任します。ティウリは騎士の誓いの言葉を述べた後、会食を抜け出す許しを乞います。礼拝堂に行き、騎士見習いの残りの試練をつとめるために。

ティウリは、礼拝堂の石の床にひざまづき、自分の前にあるろうそくの炎を見つめた。

ここは、『王への手紙(上)』の冒頭と、ほぼ同じ文章です。こうして物語はひとつの輪になったのでした。

いよいよ次回が『王への手紙』最終回です。

 

最後の時間に、次回作の『白い盾の少年騎士(上)』について、各節の発表担当を決めました。

 

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