「ラテン語初級講読」Cのクラス便り(2010.6)

春学期のクラスだよりを「山びこ通信」2010.6月号より転載します。

このクラスは、引き続いてセネカ『ルキリウスへの手紙』(倫理書簡集)を読んでいます。ロウブのテキストを基本に、文法事項を押さえながら意味を読取り、さらにその思想的な内容についても意見交換を行っています。世間を超越することを勧めるセネカは、喧騒の中にある現代にこそ読み直されるべきものであるかもしれません。人間の振る舞いはセネカの時代も今も変わっていないことを突きつけられ、ではどうすべきか、というところで、ルキリウスと共に私たちも招かれていると感じます。現代語訳も積極的に利用し、ラテン語と日本語の発想の違いについても学んでいます。翻訳者の名人芸も、日本語を感じ直すための材料となります。単に語順を比べるだけでも、その違いは興味深いものです。現在、2 名の受講生が継続されています。静かな「離れ」で、二千年前のテキストに耳を傾けるひと時は、時代を超えた楽しみです。ラテン語の初級文法を学んだことのある方であれば、どなたでもご参加できます。ご興味のある方はどうぞお問い合わせください。(文責前川裕)